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ドメイン名関連会議報告

2024年

[第80回ICANN会合報告] ccTLD関連の話題

本記事では、第80回ICANN会合(ICANN80)におけるccTLD関連の話題についてご紹介します。

ccTLD管理のあり方に関する議論

TLDを委任された組織(TLD運用者)の行動原則、遵守すべき事項は、1994年に発行されたRFC 1591[*1]に記載されています。ccTLDでは、委任の実務についてはRFC 1591のccTLD関連部分の更新版としてIANAが制定したICP-1[*2]に基づく形で遂行される形となっており、TLD運用者とICANN/IANAが取り交わす関係として、ccTLDスポンサー契約[*3]、簡易的な契約である「Accountability Framework」、双方の当事者が書簡を交換する「Exchangeof Letters」の3種類が運用されています。

しかし、ICANN/IANAとccTLDスポンサー契約を締結して明確な関係を構築しているのは一部のccTLDのみであり、多くのccTLDはICANN/IANAとの義務事項が明確にされていないままとなっています。

このような中で、2022年に.lb(レバノン)において、ccTLD運用者がIANAに登録されている責任者の死亡により一時不在となり、「Caretaker Operation(世話人による運用)[*4]」の状態になった事例が発生したことを踏まえ、ccNSOが評議委員会内にチームを設置し、ccTLD管理のあり方に関する検討を進めています。

前回のICANN 79に続き、ワーキングセッションが設けられ、IANA業務を担う、PTI(ICANN子会社)のPresidentである、Kim Davies氏を迎え、以下の三つのテーマについて、意見交換が実施されました。

  • ccTLDに関するPublic Record(Manager/Sponsor Organizationやadmin/tech contact)が存在する目的
  • IANAによる評価の結果を待たずに、ccTLD管理者の実質的な変更が発生した場合の対応
  • IANAが関知せず、ccTLD管理者の変更が起きた場合の対応

併せて、今後ccNSOとして、評議委員会内に設置したad-hoc Policy Gap Analysis groupを発展させる形で、Policy Gap Analysis Working Groupを設置し、本件の検討を推進することが提案されました。

[*1] RFC 1591: Domain Name System Structure and Delegation
   https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc1591

[*2] ICP-1: Internet Domain Name System Structure and Delegation(ccTLD Administration and Delegation)
   https://www.iana.org/go/icp-1

[*3] 2024年4月現在、正式な契約を締結しているccTLDは、.jp、.auなど九つのTLDです。
   ccTLD Agreements - ICANN
   https://www.icann.org/resources/pages/cctlds/cctlds-en

[*4] Caretaker Operations for a Top-Level Domain
   https://www.iana.org/help/caretaker-operations

SDGsとccTLDの果たすべき役割

本セッションは、ccNSOのInternet Governance liaison Committee(IGLC)[*5]が主催しました。冒頭では、デジタルの未来を推進する際の原則などを定めることを目的としたグローバル・デジタル・コンパクト(GDC:Global Digital Compact)や、デジタルデバイドを解消することなどを主な目的に含むWSIS+20[*6]は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目的としていることが紹介されました。

話者として、ICANNのInterim PresidentかつCEOでもあるSally Costerton氏などが参加し、それぞれの見解を述べました。ccTLDからは、ジンバブエ(.zw)、フランス(.fr)、ブラジル(.br)がSDGsを達成するための取り組みをそれぞれ紹介しました。

取り組みの一例として、デジタルデバイドの解消や、キャパシティービルディングやといった取り組みについての紹介がありました。また、.frは、SDGsの達成を推進していることを外部に示すツールとしてISO26000(企業の社会的責任、通称「CSR」(Corporate Social Responsibility)を明確にするための国際規格)を紹介し、実施した取り組みを客観的に評価することの重要性についても主張しました。

[*5] ccNSO Internet Governance liaison Committee(IGLC)
   https://ccnso.icann.org/en/workinggroups/iglc.htm

[*6] 国連は、2005年にチュニスで開催された世界情報社会サミット(WSIS:World Summit on the Information Society)にて採択された成果文書に関する実施状況のレビューを行っており、WSISチュニス会合から20年目に当たる2025年に国連総会で行われるレビューのことを「WSIS+20」と呼ぶ

ccNSOによるccNSOメンバー向け啓発活動

ccNSOでは、ccNSO創立20年を皮切りに、ccNSO自身や今後の取り組みについて議論するWorld Cafeという場を、ICANN会合の場やオンラインの場で設けています[*7]。これは参加者の相互理解促進や、お互いに意見を伝え合う練習を主な目的としています。

今回のWorld Cafeでは、六つのテーブルに分かれ、テーブルごとに設定されたテーマを各進行役がリードし、参加者間で意見交換を行いました。

テーマの例:

  • ccNSOの投票率が半数強にとどまっているのはなぜか
  • この投票率を踏まえると「ccNSOは世界中のccTLDコミュニティを代表する組織だ」という主張は正当か
  • どの程度の投票率が望ましいか

他のccNSOメンバーのセッションに比べ、参加者数が4分の1程度と少なく、参加者の半数以上がccNSOでの取り組みに深く携わっている人物であったことから、参加者の増加や新しい世代の取り込みが課題として挙げられました。イベント自体の周知方法を含め次回以降に向けた見直しがされる予定です。

[*7] 過去の議論などは「[第78回ICANN会合報告] ccTLD関連の話題 ~WSIS+20レビューとccTLDとの関わりなど~」を参照
   https://jprs.jp/related-info/event/2023/ICANN78-01.html