JPドメイン名のサービス案内、ドメイン名・DNSに関連する情報提供サイト


ドメイン名関連会議報告

2025年

[第122回IETF Meeting] IETF全般に関する状況

本記事では、第122回IETF Meeting(IETF 122)における話題から、IETF全般に関する状況についてご紹介します。

IETF 127の開催地に関する議論の状況

今回の全体会議(Plenary)では、複数の参加者から2026年11月に開催予定の第127回IETF Meeting(IETF 127)の開催地が米国のサンフランシスコであることについて、現地参加に関する懸念と、開催地の再検討を求めるコメントが寄せられました。

IETF Meetingの開催地域は、北米・欧州・アジアの三地域を均等に配分する形で決定されます[1]。また、開催都市と会場は地域の決定後、アクセスの利便性、適切な会議施設の存在、必要なコスト、過去の開催実績、開催地における技術コミュニティやスポンサーの状況などを勘案した上で、IETFの管理運営と資金調達を担当するIETF LLCにより決定されます[2]

https://jprs.jp/related-info/event/imgs/IETF122-01_01.jpg

今後の開催地・会場(Plenaryの発表より)

参加者からは「トランスジェンダーである私は米国に入国できなくなった」「現在の米国では有効なビザを所持している、あるいはビザが必要でない国からの入国であっても、入国審査で長期間拘束される懸念がある」「身の安全に関する懸念をふっしょくできないため、サンフランシスコの会議には参加したくない」など、最近の米国の状況の変化に関する、強い懸念が表明されました。

これに対し、IETF LLCからはIETF 127のサンフランシスコでの開催は既に複数回の変更を経たものであり、多額のキャンセル費用が掛かる再変更は財政的に困難であること、米国の状況は明確でなく常に変化しており、状況に応じた計画の立案が難しいこと、代替の開催地としてメキシコを入念に調査したが、ふさわしい会場が見つからなかったこと、現在の国際情勢から、理想的な基準を満たす国の数は極めて少ないことなどが挙げられ、現時点で予定通りに開催する方針であることが表明されました。

終了後、コメントを寄せた参加者の一人がIETF 127の現地参加の拒否を呼び掛けるWebサイト「Boycott IETF 127」を立ち上げました。Webサイトには2025年4月3日時点で、取り組みを支持する300人以上の署名が寄せられています。

その後、2025年4月2日にIETF LLC Executive DirectorのJay Daley氏から、2025年4月16日のIETF LLC理事会と5月のstrategic planning retreat [3]で本件を再検討する旨と、従来からの慣行に従い、理事会の最後に傍聴者から質問を受け付けるオープンセクションを設ける旨が、ietf-announceメーリングリストに告知されました[4] [5]