JPドメイン名のサービス案内、ドメイン名・DNSに関連する情報提供サイト


増刊号

vol.34

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2005-04-19━
                       ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.34 ◆
━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━
___________________________________

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
                   ICANNマルデルプラタ会合報告(前編)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2005年4月4日から8日まで、アルゼンチンのブエノスアイレス市の南方400kmに
あるマルデルプラタ(Mar del Plata)にて、ICANN会合が開催されました。
5日間行われた今回のICANN会合には、80以上の国・地域から、600名以上が参
加しました。

今回の主な決議事項は以下の通りです。詳細はICANNの決議書として公開され
ています。

・AfriNICを5番目の地域インターネットレジストリ(Regional Internet
  Registry:RIR)として承認
・IPv4アドレスブロックをIANAがRIRに割り振る際に適用するポリシーの承認
・新スポンサー付TLD(sTLD)「.JOBS」「.TRAVEL」の承認

これらの他にも、ワークショップやパブリックフォーラム等で話題になった事
項がありました。本号では、そのうちの2つ、IDNの議論とDNSSECワークショッ
プについてご紹介します。

          ◇                     ◇                     ◇

■IDN(国際化ドメイン名)に関する議論

今回、IDNに関して特に正式なプログラムはありませんでしたが、ICANN関係者、
理事からは公の場で何度か発言がありました。今後のICANN戦略計画に関する
理事会の議論においても、IDNをICANNの優先事項に加えるべきとの発言も目立
ちました。このことから、IDNの実装とポリシーにおけるグローバルな調整に
ICANNが引き続きコミットしていきたいとの姿勢がうかがえました。

また、最近のIDNのフィッシング詐欺脆弱性の指摘に関連し、JPRSをはじめと
するTLDレジストリが行った迅速な情報提供について、ICANNから感謝の意が述
べられました。そして、今後も本件およびIDNポリシー全般について様々な情
報を収集し、ICANNがWeb等で提供していく予定であるため、TLDレジストリ他
関係者の協力が不可欠であるとの呼びかけが行われました。

この他、トップレベルへのIDN導入について理事会で議論が行われました。
この問題は、過去に理事会のIDN委員会が議論していた頃から、あまり進展が
見られません。TLD、特にgTLDにおいては、IDNでのトップレベルドメインが各
方面に与える影響が大きく、調整が困難であることがその要因のひとつです。
一部の理事から、実験的に2、3のTLDに限定してルートにIDNを登録すべきとの
提案もありましたが、具体的な議論はその場では行われませんでした。理事長
Vinton Cerf 氏は、IDN化したTLDの影響の大きさから、拙速な導入に対して懸
念を示しました。ただ、重要な問題であることは理事会で認識され、今後引き
続き議論することを確認しました。

■DNSSEC(DNS Security Extensions)ミニワークショップ

4月5日に、DNSSECミニワークショップが開催されました。並行して他の会議が
開催されていたにも関わらず、会場には約100名が集まり、DNSSECへの関心の
高さが伝わってきました。

このワークショップは、DNSSEC Deployment Initiativeが中心となって開催さ
れたものです。DNSSEC Deployment Initiativeは、DNSSECに関する認知度向上、
実装に関する課題の整理、実装のロードマップ作成を目的として立ち上がった
グループで、ccTLD、gTLD、ソフトウェアベンダー、各国政府等が参加してい
ます。2月にAPRICOTで、3月にはIETFにおいて会議を開催してきました。

今回のワークショップでは、DNSSECの基本的技術と実装の現状が紹介されまし
た。最初にDNS攻撃のデモンストレーションを行うなど、参加者の注意をひく
工夫もなされていました。その後はパネルディスカッションとなり、.BR(ブ
ラジル)、.SE(スウェーデン)、.biz、.infoでの実装状況や、VeriSignが
.netにおいて行っているパイロットプロジェクトなどの事例紹介がありまし
た。それら発表の中で、DNSSECが、様々な関連サービス(例:レジストラのプ
ロビジョニング、デスクトップクライアントソフトウェア、ISPなど)に変更
をもたらし、名前解決自体も複雑にすることから、実際に大規模なDNSで運用
した場合の動作を慎重に見極めなければならないとの指摘がありました。

今回は基礎的な内容が中心でしたが、今後は、レジストリ、レジストラで
DNSSECを導入するにあたって考慮すべき点について、議論を深めていく予定で
す。今年7月のICANN会合でレジストリの観点からDNSSECを検討するワークショッ
プが、10月のICANN会合ではレジストラの観点から同様のワークショップが開
催されます。

          ◇                     ◇                     ◇

◎関連URI
  - ICANNホームページ
    http://www.icann.org/

  - ICANNマルデルプラタ会合
    http://www.icann.org/meetings/mardelplata/

  - ICANN DNSSECワークショップ
    http://www.dnssec-deployment.org/miniworkshop.php


  - ICANN理事会決議事項(マルデルプラタ、アルゼンチン)
    http://www.icann.org/minutes/resolutions-08apr05.htm

━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━
              編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                            http://jprs.jp/
                            http://日本レジストリサービス.jp/
                会議報告:  http://jpinfo.jp/event/
  メールニュース配信解除:  http://jpinfo.jp/mail/
ご意見・ご要望・おたより:  from@jprs.jp

当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、
ニュースグループまたは他のメディア等へ許可なく転載することを禁止します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C), 2005 Japan Registry Services Co., Ltd. 2005年04月19日