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増刊号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007-07-23━ ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.78 ◆ ━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━ ___________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 登録者保護のためのレジストラ管理強化の議論 ~ RegisterFly事件を受けて:ICANNサンフアン会合 ~ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ここ数ヶ月の間さまざまなメディアで取り上げられた、RegisterFly社のgTLD レジストラ契約終了に関する混乱は記憶に新しいところです。 ドメイン名の登録管理の基本は、それぞれのドメイン名の登録者が誰であるか を管理することです。この「ドメイン名の登録者が誰であるか」という情報の 管理は、JPドメイン名ではレジストリであるJPRSが担当するのに対し、.comや .net等ではレジストラが担当する業務となっています。したがって、レジスト ラがその機能を十分に果たせなくなったり、レジストラとしての地位を失うこ とになった場合には、登録者情報の管理に大きな影響を及ぼすことになります。 実際、今回の事件を通して様々な問題・課題が明らかになり、前回のICANNリ スボン会合でこの問題に対する課題の抽出と対応策の検討が始まりました。今 回、6月25日から29日にかけて開催されたICANNサンフアン会合は、この話題に ついて議論する2回目の会合となりました。 レジストラが正しく機能しないことで、登録者が自分の登録したドメイン名を 失ったり、使えなくなったりすることがあってはなりません。このような場合 に登録者の保護をどのように達成するのか、RegisterFly社の事件のようなこ とが再び発生しないように、また万一発生してしまった場合、迅速かつ適切な 対処を可能にするためにどのような準備をしておく必要があるのか。ICANNサ ンフアン会合からこれらのテーマに関する議論の内容をご紹介します。 なお、RegisterFly社の事件の内容と前回ICANNリスボン会合での検討の内容に ついては4月6日発行のFROM JPRS増刊号「ICANNリスボン会合報告(第1回) をご覧ください。 ◇ ◇ ◇ ■レジストラ管理の強化 gTLDのレジストラを行う企業はその業務を開始するにあたりICANNとの間で 「レジストラ認定契約」を締結します。 ICANNは契約にあたり、その企業がレジストラとして安定したサービスを提供 できるかどうかを確認し、レジストラとして守らなければならない条件を盛り 込んだ契約を締結します。つまりICANNは、この契約締結のプロセスと契約の 内容において、レジストラを管理することになります。 つまり、レジストラがその役割を十分に果たし、万一の場合にも対応できる準 備を行っておくことについてICANNの立場でできることは、この「レジストラ 認定契約」により、レジストラの管理を強化することになります。 今回の会合では、ICANNのスタッフからレジストラ管理の強化に関する論点や 影響度が説明されました。主なものを簡単に紹介します。 - リセラが介在する場合のレジストラの責任 レジストラと登録者の間に、リセラと呼ばれる事業者が介在する場合が あります。この時、リセラがドメイン名の登録管理に関するレジストラ と登録者の関係を十分に認識していなかったり、登録者への説明がなさ れなかったりすると、登録者がレジストラの存在を知らなかったり、登 録者の情報がレジストラへ十分に伝わらなかったりします。そのため、 レジストラのリセラに対する責任を拡大すべきではないか、という議論 がなされています。 - データエスクローの有効性の確保 レジストラは、ドメイン名の登録情報のデータエスクロー(第三者組織 に登録情報をコピーして保存すること)を行う義務があります。これに より、レジストラがその役割を果たすことができなくなった時、次のレ ジストラに情報を引き継ぐことができるようになっています。しかし、 実際にはデータエスクローに関する規定がきちんと守られていない事例 が見受けられ、これをいかに機能させるかということが課題となってい ます。 また、Whoisに登録者の個人情報を公開しないことを目的に、サービス 事業者が利用者の代わりに登録者となるようなサービスを提供している ことがあります。このような場合、利用者の情報はエスクローされない ことになってしまいます。 - レジストラ認定契約の内容を遵守させるための措置 ICANNがレジストラ認定契約の内容を遵守させるために行使できる手段 は、現在は契約終了という最終手段しかなく、この手段を用いることは 登録者に大きな影響を与えるため、行使しづらいものでした。このため、 レジストラに契約内容を遵守させるための有効な手段として、ICANNが 段階的な制裁手段を持つべきではないか、という議論がなされています。 - レジストラから他のレジストラへの登録者の強制移行 登録者の保護を担保するための、機能不全に陥ったレジストラから新し いレジストラへの強制的な移行は、誰が、いつ、どのように行うべきな のかという議論がなされています。 今回の会合では、これらの論点説明に対して議論が行われましたが、いずれの 課題もまだ議論の初期段階にあります。最終的にはレジストラ認定契約の改訂 という形でポリシーが実装されることになりますが、今後もICANNの場で検討 が継続されていくことになっています。 ◎関連URI Welcome to ICANN San Juan | San Juan meeting site http://sanjuan2007.icann.org/ (ICANNサンフアン会合公式サイト) ICANN | ICANN-Accredited Registrars http://www.icann.org/registrars/accredited-list.html (ICANN認定レジストラの一覧) ICANN | Registrar Accreditation Agreement | 17 May 2001 http://www.icann.org/registrars/ra-agreement-17may01.htm (現在のICANN認定レジストラ契約書) ━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━ 編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) http://jprs.jp/ http://日本レジストリサービス.jp/ 会議報告: http://jpinfo.jp/event/ メールニュース配信解除: http://jpinfo.jp/mail/ ご意見・ご要望: from@jprs.jp 当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、 ニュースグループまたは他のメディア等へ許可なく転載することを禁止します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C), 2007 Japan Registry Services Co., Ltd. 2007年07月23日