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増刊号

vol.99

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010-04-01━
          ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.99 ◆
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           新TLDの導入に関する最新動向
       ~APTLD会合、ICANN会合における話題を中心に~
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2010年3月、APTLD Members' Meetingがマレーシアのクアラルンプールで、
第37回ICANN Meetingがケニアのナイロビで開催されました。いずれの会合も、
新TLDの導入に関する議論が中心となりました。

日本国内でも、IDN ccTLD「.日本」の管理運営事業者選定基準に対する意見募
集や、個別企業によるブランド名での新gTLD申請決定の発表など、導入に関す
るトピックスが注目を集めている新TLD。今回のFROM JPRSでは、APTLDクアラ
ルンプール会合とICANNナイロビ会合における話題を中心に、新TLDの導入に関
する最新動向をお伝えします。

     ◇           ◇           ◇

■IDN ccTLDの動向

2009年11月16日にファストトラックプロセス(*1)によるIDN ccTLDの申請受
け付けが開始されて以降、19の文字列が申請されていることがICANNによって
発表されています。

(*1)IDN ccTLDの正式導入のために必要となる「ポリシー策定プロセス
   (以下、ccPDP)」の作成と並行して、既存のccTLDに対応した形で
   IDN ccTLDを限定的に早期導入し、技術、運用、ポリシーなどの問題が
   発生しないことを確認するための活動です。

ファストトラックプロセスでは、国/地域における申請準備の完了後、ICANN
による文字列評価審査とIANAによるレジストリの委任評価審査を経て、
IDN ccTLDがルートゾーンに登録されることになります。2010年1月21日に既に
文字列評価審査の通過が発表されていたアラブ首長国連邦、エジプト、サウジ
アラビア、ロシアに加え、3月22日・23日付でカタール、スリランカ、タイ、
台湾、中国、チュニジア、パレスチナ、香港が文字列評価審査を通過したこと
が新たに発表されており、累計で12の文字列が評価審査を通過したことになり
ます。

続く委任評価審査は、通常3カ月程度を要するとされています。委任評価審査
に進む12の文字列のうち、繁体字と簡体字という複数の字体体系を持つ台湾と
中国はいずれも2つのTLDを要望しています。このため、台湾と中国は委任評価
審査の前に「Synchronized IDN ccTLD Evaluation Process」という、複数の
TLDを希望するIDN ccTLD用に考案された新たなプロセスを経る必要があります。
なお、同プロセスは現状では未確定のものであり、2010年4月22日にICANN理事
会で確定予定となっています。

▼IDN ccTLDに関するccPDP

上述の通り、ICANNでは世界の全てのIDN ccTLDに恒久的に適用されるポリシー
の検討も並行して行っています。現時点までに課題リストが確定し、中身の検
討が始まりました。

・どのような国/地域単位に与えるか
・各国の各言語の各スクリプトに対し、いくつのIDN ccTLDを与えるか
・一つの文字列に複数の申請があった時、申請への反対意見があった時、紛争
 があった時の解決ポリシーやプロセスはどうあるべきか

といった内容が、ccNSO(*2)で今後2年程度かけて検討される予定です。

(*2)ICANNの活動を支える支持組織の一つです。ccNSOはccTLDの連合体とし
   てccTLDに関するグローバルなポリシー案を策定し、ICANN理事会に勧告
   を行う役割を担います。

▼各国におけるIDN ccTLDの検討状況

APTLDクアラルンプール会合では、マレーシアと香港におけるIDN ccTLDの検討
状況が報告されています。

マレーシアは、ASCII文字からなる既存のccTLD(以下、ASCII ccTLD)のレジ
ストリであるMYNICが導入プロジェクトを進めており、同国で使用されている
ジャウィ文字によってIDN ccTLD文字列を表現し、第2レベルに登録可能な文字
列もジャウィ文字に限る計画であることを発表しました。

香港は、ASCII ccTLDのレジストリであるHKDNRが導入プロジェクトを進めてお
り、「.香港」をIDN ccTLD文字列として、第2レベルには中国語文字(簡体字
または繁体字)を1文字以上含む文字列を登録可能とする計画であることを発
表しました。ASCII ccTLDの「.hk」ドメイン名の登録に対して、「.香港」ド
メイン名を無料で登録可能とし、ドメイン名の更新と移転は双方のドメイン名
で一緒になされ、登録有効期限と連絡窓口情報も同一のものが設定される予定
とのことです。優先登録の実施も予定しており、同一文字列での登録申請が複
数あった場合の処理や異議申し立ての仕組みを準備していることも発表されて
います。

■新gTLDの動向

当初計画よりスケジュールに遅延が生じている新gTLDについて、ICANNナイロ
ビ会合でICANNは提案募集開始時期の具体的な言及を避けました。現時点では、
新gTLD応募者用ガイドブック案の第4版が2010年6月下旬に公開されることのみ
明らかにされており、同ガイドブックの最終版公開、実際の提案募集開始の時
期は未定となっています。

なお、ICANNナイロビ会合では、商標権を始めとする権利を保護する方策など、
継続検討が必要とされていたいくつかの論点について議論の進展がありました。
新gTLD関連決議は以下の通りです。

▼EOI(Expression of Interest)実施提案の却下

ICANNでは、新gTLD提案応募の前段階として申請文字列や申請者に関する情報
の提出を求める「EOI」という事前申請プロセスの実施を検討していましたが、
理事会はこれを却下しました。

収集した情報がポリシー確定やリソース計画立案に活用できるといったメリッ
トよりも、この新たなプロセスによって全体のプロセスが遅れるなどのデメ
リットの方が大きいとの判断によるものです。

▼「全ての新gTLDは3文字以上の文字列であること」という制限の見直し

本制限は、中国語圏などからIDN gTLDにおいて不合理との意見が出ており、
理事会では個別審査の上で一定条件を満たせば2文字でもIDN gTLDとして創設
可能とする方向の決議がなされました。1文字のIDN gTLDは、現状案でも創設
不可能となっています。

なお、本件は2010年4月1日までICANNによる意見募集がなされており、現状で
は未確定のものです。

▼商標権保護の仕組みの導入

商標権保護を目的として、「Trademark Clearinghouse」、「Uniform Rapid 
Suspension(以下、URS)」という二つの仕組みが導入される方向となりまし
た。これらの仕組みも2010年4月1日までICANNによる意見募集がなされていま
す。

Trademark Clearinghouseは、あらかじめ権利者から申請された商標をデータ
ベース化し、サンライズ登録期間中の申請チェックなどに用いる仕組みです。
また、URSは明らかに商標権を侵害しているドメイン名について、その名前解
決を登録有効期限まで停止する仕組みです。URSは、gTLDに関する統一紛争解
決ポリシーである「Uniform Dispute Resolution Policy(UDRP)」とは別に
設けられるものとなっています。

▼新gTLD提案者への金銭的支援の検討

現計画では、新gTLDの提案応募・運用に際して、「18万5千米ドルの申請手数
料」や「年間2万5千米ドルの維持費」などをICANNに支払う必要があります。
これに対してかねてより、途上国及び非営利の新gTLDはICANNへの支払い金額
を少なくすべきという意見が関係者から出されていました。

これに対し理事会は、途上国からの新gTLD提案応募とその運用についてICANN
が何らかの金銭的支援をする方向で方針検討することを決議しました。

■次回のAPTLD Members' Meeting及びICANN Meeting

次回のAPTLD Members' Meetingはスリランカのコロンボで、第38回ICANN 
Meetingはベルギーのブリュッセルで、いずれも2010年6月に開催される予定
です。

     ◇           ◇           ◇

◎関連URI

 - APTLD - Asia Pacific Top Level Domain Association
  http://www.aptld.org/
  (APTLDホームページ)

 - ICANN no. 37 | 7-12 March 2010 | Nairobi
  http://nbo.icann.org/
  (ICANNナイロビ会合公式ページ)

  - ICANN | IDN ccTLD Fast Track Process - News and Announcements
  http://www.icann.org/en/topics/idn/fast-track/announcements-en.htm
  (IDN ccTLDファストトラックプロセスに関するICANNのニュースページ)

  - ICANN | Public Comment
  http://www.icann.org/en/public-comment/
  (ICANNの意見募集ページ)

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