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増刊号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010-09-06━ ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.104 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ アジア太平洋地域の視点でインターネット関連課題を議論 ~AP* Retreat会合報告~ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ AP*(APstar) Retreat会合が、2010年8月23日にオーストラリアのゴールド コーストで開催されました。 AP* Retreat会合は原則として年に2回開催され、APNIC、APTLDなどのアジア太 平洋地域のインターネット団体の代表や、各国・地域でインターネット上の重 要な役割を担っている組織から参加者が集まります。会合では、各組織の活動 状況の報告や問題意識の共有に加え、インターネットに関連する課題に対して、 アジア太平洋地域のコミュニティ全体としてどう取り組むべきかの議論が行わ れています。 今回の会合は、第30回APNIC Meetingの前日に同一会場で開催され、約15名の 参加がありました。そのうち、日本からの参加者が5名と、アジア太平洋地域 の主要なインターネット組織に対する日本の関与の大きさが窺える会議となり ました。 ◇ ◇ ◇ ■アジア太平洋地域のインターネット関連組織からの活動報告 前半の部では、以下に示すアジア太平洋地域のインターネット関連11組織から、 この半年の活動と今後の予定についての報告がなされました。 ・APCERT - Asia Pacific Computer Emergency Response Team ・APNIC - Asia Pacific Network Information Centre ・APIA - Asia & Pacific Internet Association ・APOPS - The Asia Pacific OperatorS Forum ・APRALO - Asia-Pacific Regional At-Large Organization ・ISOC - Internet Society ・APTLD - Asia Pacific Top Level Domain Association ・ISIF - Information Society Innovation Fund ・APIX Forum - Asia-Pacific Internet Exchange Forum ・intERLab - Internet Education and Research Laboratory ・APAN - Asia-Pacific Advanced Network 今回の会議では、2010年2月より活動を開始したAPIX Forumからの報告があり ました。APIX Forumは、インターネットエクスチェンジ(以下、IX)の重要性 が増す中、その技術や運用、ビジネスに関する情報交換のためのフォーラムの 必要性がアジア太平洋地域の国々のIXプロバイダーの間で合意された結果、創 設されたものです。 APIX Forumの立ち上げは、2008年のAP* Retreat会合での「アジア太平洋地域 におけるIXの在り方を考えよう」という呼び掛けをきっかけに、2009年の AP* Retreat会合でもその必要性や目的が議論され、創設に向けた活動が各関 係者の間で進められてきました。APIX Forumの活動には、JPNAPを始め、JPIX、 BBIX、dix-ieといった日本のIX関係者による大きな貢献がなされています。 このようにAP* Retreat会合は、アジア太平洋地域のインターネットについて、 さまざまな活動や組織を考え、立ち上げる場所としての役割を果たしています。 ■IDN ccTLDによりccTLDの定義は変わるのか 後半の部では、Special Topicとして「ccTLDの定義」をテーマに、JPRSの堀田 博文がICANNでの動きや今後解消すべき課題を共有しました。その概要を以下 にご紹介します。 「そもそも、ccTLDとは何か」については、1994年に発行されたRFC 1591で 「ISO-3166に由来する2文字の国別コード」と定義されています。 その後、2009年11月にICANNが受け付けを開始したIDN ccTLDファストトラック プロセスにより、IDN ccTLDの新設や承認が可能となりました。この手続きで は、ISO-3166の国別コードに対応する国や地域ごとに、その国名や地域名を公 用語(もしくはそれに相当する言語)で表現したものを、IDN ccTLDとして申 請できることになっています。この手続きに沿って、2010年8月13日時点で19 のIDN ccTLDが承認されており、そのうちのいくつかは既にルートゾーンに登 録され、インターネット上で利用可能となっています。 IDN ccTLDという名前が示すように、ICANNではこれらをccTLDとして扱うこと にしています。しかし、これは現行のRFC 1591の定義と矛盾するため、今後ど こかに何らかの見直しが必要になります。 それに加え、新たにIDN ccTLDをccTLDとみなすことにより、次のような課題が 生じます。 1) ccNSOやAPTLDの会員の定義は現在、「ISO-3166で定義された2文字の国別 コードのTLDを管理するレジストリ」となっているが、IDN ccTLDのレジ ストリも会員とみなすか。 2) ccNSOやAPTLDの会員の投票権は現在、「会員ごとに1票」となっている。 IDN ccTLDのレジストリも会員とみなす場合、多くのIDN ccTLDを持つ国 や地域が多くの投票権を持つことになるが、投票権をどう割り振るか。 3) ccNSOやAPTLDにおける選挙での被選挙権の中には、例えば「会員1組織に よる推薦があれば候補者となれる」となっているところがある。 IDN ccTLDのレジストリも会員とみなす場合、多くのIDN ccTLDを持つ国 や地域が多くの候補者を立てられることになるが、会員1組織からの推薦 さえあればこれまでと同等の候補者資格があるものと定義するか。 4) 上記1~3の課題において、Synchronized IDN ccTLDs(*1)をどう扱うか。 これらの課題は、多くのIDN ccTLDが使われると想定されるアジア太平洋地域 では重要なものです。今後、ccNSOの作業部会やAPTLDで検討が進められる予定 です。 (*1)二つ以上のIDN ccTLDで、それらが等価とみなされるべきであり、同一 の組織に委任しない場合には混乱が起こると考えられるものです。 IDN ccTLDファストトラックプロセスでは、国や地域において原則とし て一つの言語に一つのIDN ccTLDを認めることとしていますが、例えば 簡体字と繁体字という複数の字体体系を持つ中国と台湾には、この概念 に基づいて、それぞれ「.中国/.中國」、「.台灣/.台湾」という二つ のIDN ccTLDを同時に委任するという決定がなされています。 ■次回のAP* Retreat会合 次回AP* Retreat会合は、2011年2月に香港で開かれるAPRICOT/APAN会合に併設 する形で開催される予定です。 ◇ ◇ ◇ ◎関連URI - APSTAR.ORG - The community of Asia Pacific Internet Organization http://www.apstar.org/ (AP*ホームページ) - AP* Retreat http://www.apstar.org/ap_retreat.php (AP* Retreatホームページ) - ICANNブリュッセル会合報告 ~新TLDの導入に関する最新動向を中心に~ http://jpinfo.jp/event/2010/0707ICANN.html (IDN ccTLD及びSynchronized IDN ccTLDsについて解説している、JPRSの Webページ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【FROM JPRS】━ ■会議報告:http://jpinfo.jp/event/ ■配信先メールアドレスなどの変更:http://jpinfo.jp/mail/henkou.html ■バックナンバー:http://jpinfo.jp/mail/backnumber/ ■ご意見・ご要望:from@jprs.jp 当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、 ニュースグループ、他のメディアなどへ許可なく転載することを禁止します。 また、当メールマガジンには第三者のサイトへのリンクが含まれていますが、 リンク先のサイトの内容などについては、JPRSの責任の範囲外であることに ご注意ください。 その他、ご利用にあたっての注意事項は読者登録規約にてご確認ください。 http://jpinfo.jp/mail/kiyaku.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) http://jprs.jp/ http://日本レジストリサービス.jp/ Copyright(C), 2010 Japan Registry Services Co., Ltd.