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ドメイン名関連会議報告

2003年

ICANN ccNSOの最新動向

~ccTLD Meeting報告~
2003/11/11
2003年10月26日から28日まで、北アフリカのチュニジアにて、ccTLD(Country-code Top Level Domain)レジストリの会議が開催されました。この会議は、同じくチュニジアで開催されたICANN(the Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)第5回年次会合に併設して開かれたもので、世界各国・地域の約50のccTLDレジストリから約80名が参加して行われました。.JPのレジストリとして、JPRSも出席しました。

ccTLD Meetingの様子
ccTLD Meetingの様子(Carthage Palace Hotel in Gammarth, Tunisia)

ccNSOとは

ICANNの設立以来、ccTLDレジストリは、ICANN理事会に勧告する立場にあるDNSO(Domain Name Supporting Organization)を構成する一組織「ccTLD Constituency」として、ccTLDに係わるローカルインターネットコミュニティの立場から関連する提案を行ってきました。その後、2002年2月から始まったICANN組織改革に伴い、DNSOはccNSO(Country Code Names Supporting Organization:ccTLDの連合組織)とGNSO(Generic Names Supporting Organization:gTLDの連合組織)とに二分されました。これにより、ccTLDは、ICANNの理事会に対して直接勧告できるようになりました。2003年6月のICANNモントリオール会議においてこの組織変更が確定した後、ccNSOの正式設立へ向けた加入者集めが行われています。

ccNSO設立に向けた進捗状況

しかし、ccNSOの設立に向けた作業は、当初の予想よりも進捗していません。ccNSOが発足するためには、世界の5地域(アジア太平洋、アフリカ、ラテンアメリカ、北米、ヨーロッパ)から4ずつ以上、合計30以上のccTLDレジストリが加入しなければなりません。ところが、11月1日現在、加入しているccTLDレジストリは、合計で28です。世界のccTLD数は243、うちアクティブなレジストリは約80と言われています。それに比して、現状のccNSO加入は思うように進んではいません。

現在の加入内訳は、アジア太平洋…6(.JPを含む)、アフリカ…10、ラテンアメリカ…8、北米…3、ヨーロッパ…1となっており、北米とヨーロッパの加入数が足りません。もともとは今回のチュニジア会議までにccNSOを成立させることを目指していましたが、それはかないませんでした。従って、ccNSOが正式化していない状況での今回のccTLD会議は、「World Wide Alliance of ccTLD Managers Meeting」などとも呼ばれます。

ccNSOに関する論点

この加入状況を受け、今回のccTLD会議では、ccNSOを成立させるためにccTLDが今後どうすべきかについて議論を行いました。

参加者のccNSOに対する意見は大きく2つに分かれました。

一方は、ICANN定款に文言上十分に明確でない部分があり、ccNSO加入レジストリが理事会から不要な拘束を受ける可能性があるのではないかと懸念する意見です。ヨーロッパのいくつかのccTLDがこのように考えています。彼らは、この懸念を払拭するような内容の明文化がccNSO加入の条件であるという立場を取っています。

ccNSOは、グローバルレベルで決定する必要のあるccTLD関連のポリシーを策定し、ICANN理事会に勧告する役割を持っています。ccTLDはローカルインターネットコミュニティの利益を最優先してドメイン名の登録管理方針を定めるべきであり、グローバルに話し合うべきポリシーというのは、レジストリとIANAとのやりとりに関することなどに限定されます。ヨーロッパのccTLDは、その原則がより明示的に記されることを要求しています。

他方は、ccNSOに関する基本的な考え方が一致していることに基づき、多少の不明確点は今後明確にしながら進めることを前提に、最初からccNSOに加入して組織化に参画し、ローカルインターネットコミュニティの利益を適切に守れるccNSOを、自ら作っていこうという意見です。アジア太平洋、ラテンアメリカからの主な参加者はこのように考えています。ccNSOをまず成立させなければ、ICANNの改革は完了せず、ICANNの組織がいつまでも未完成のままになってしまいます。従って、まずccNSOに加入して、内側からccNSOを、ひいてはICANNを支えていこうというのが、彼らの立場です。

Vint Cerf(Chairman of the Board)がコメント

3日間の会議期間を通じ、両立場の議論はしばらく平行線をたどりました。しかし、途中でICANN理事会のChairであるVint Cerfが会議に参加し、ccTLDレジストリには、まず具体的にどの点が懸念になっているのかをリストアップし、理事会に相談してほしいとの意見を述べました。

このコメントにより、ccTLDは、あらためて懸念事項を整理しなおすことにしました。

今後の動き

今後、ccTLDレジストリは、各ccTLDに対するICANN理事会からの拘束範囲などについて、明文化すべきことを整理することになります。検討にあたっては、2003年6月にモントリオールで合意された原則、すなわち、民間主導のボトムアッププロセスに基づいた、ローカルインターネットコミュニティの意思を反映したccNSO作りが、全ての原点になります。この検討の過程で上記両立場の合意が形成できれば、ccNSOへの加入が必要数まで増える可能性はあります。

次回のccTLD会議は2004年の3月に予定されています。それまでに、ccTLDレジストリは、CENTRやAPTLDなどの地域連合組織の会議およびメーリングリストにおいて、検討作業を早急に進めていく予定です。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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