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ドメイン名関連会議報告

2003年

ENUMの最新動向

~ccTLD会合でのENUMセッションについて~
2003/11/18
2003年10月28日、一連のICANNチュニジア会合の一つとして開催されたccTLD会合で、ENUMに関するセッションがありました。ENUMは、DNSを利用した技術であり、かつ各国でのDNS運用をベースとするサービスであるため、各国ccTLDの間でも非常に興味が持たれています。今回は、約50カ国のccTLDが集まる中、日本と英国からENUMに関する状況報告がありました。

会場となったホテルの外観
会場となったホテルの外観(Carthage Palace Hotel in Gammarth, Tunisia)

日本の状況

まず、JPRSから「VoIP and ENUM」という表題で、日本の状況について報告を行いました。IP電話の普及に関しては、日本が世界を先導しているという認識が各国にあり、聴衆の興味を集めました。特に、IP電話の普及率、および、IP電話専用に050という電話番号領域が定義されていることが興味を引き、質問もこの点に集まりました。

ENUMに関しては、2002年9月に始まったENUM研究グループの紹介、2003年9月に創設されたENUM Trial Japan (ETJP)の活動を紹介しました。特に、各国における電話番号体系とENUMの管理体制が強い相関関係を持つことに関する検討結果を紹介し、その部分に参加者の興味が集中しました。またETJPが、参加会員の自主活動による技術実証を中心に進めるべく活動していることも紹介しました。

英国の状況

次に、英国のENUMトライアルグループ(UKETG)の参加者から、ENUMの基本的な仕掛けや検討課題の説明が行われました。整理された資料をもとに短時間でENUMが紹介されたため、参加者の理解が進みました。特に、ENUMはIP電話のためだけにあるのではなく、電子メールやWebなどと組み合わせたサービスにも使えることが強調されました。

続いて英国のトライアル状況が紹介されました。英国のENUMトライアルグループは、日本のトライアルが技術実証を中心とするものであるのとは対照的に、ENUMの運用、ENUM上の通信サービスにおける組織構造の検討、規制のあり方の検討、などの机上検討が中心に進んでいるとの紹介がありました。

まとめ

今回のENUMセッションにより、ENUMが世界のIP電話をはじめとする通信サービスをつなぐひとつの方法であるという共通の理解が進みました。また、IP電話に閉じない応用分野を持つENUMの将来性が共有される会となりました。特に、セッションの参加者である各国ccTLDが、ENUM DNS運用において果たしうる役割に関しても理解が進む会となりました。

さらに、電話番号の体系とENUM運用の体制の相関関係を理解する目的で、各国の電話番号体系やIP電話、ENUM用の電話番号領域に関するサーベイを実施することをJPRSから提案し、合意されました。その結果は各国で情報共有されるとともに今後のENUM運用体制の検討のベースとなる予定です。

ENUMの概要および検討課題に関しては、日本のENUM研究グループの報告書にも整理されていますので、あわせてご覧ください。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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