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ドメイン名関連会議報告

2004年

RIPE 47 Meeting報告

2004/02/10
2004年1月26日から30日の日程で、第47回 RIPE (Reseaux IP Europeens) Meetingがオランダ・アムステルダムで開催され、ドメイン名やIPアドレス等のインターネット資源とその管理に関わる技術的な議論がなされました。会合には、欧州のインターネット関連技術者のみならず、世界中から300人程度が参集しました。
ここでは、その会合の中から、DNSに関する会議、および、 ENUM BoFの状況についてトピックスをご紹介します。

Plenary sessionの様子
Plenary sessionの様子(NH Grand Hotel Krasnapolsky, Amsterdam)

DNSルートゾーンへのIPv6アドレスの登録

ドメイン名、IPアドレス、AS番号等、一意性の保証が必要なインターネット資源の大元の管理を行っている IANA は、インターネット全体にとって非常に重要な位置を占めます。そこでICANNは、IANAサービスの強化を目指して、インターネット資源管理技術に精通したDoug Barton氏を、2003年12月に専任のGeneral Managerとして迎え入れました。今回、そのBarton氏より、IANAの最近の活動に関して報告がありました。

Barton氏は、最大のホットな話題であると前置きして、ルートゾーンへのIPv6 アドレスの登録についての検討状況を紹介しました。これは、1年以上前より、TLDのネームサーバにIPv6アドレスをつけて運用することを目的として、いくつかのccTLDレジストリがIANAに申請してきたものです。Barton氏によると、ICANNとして、ルートゾーンへのIPv6アドレスの登録がインターネット全体の安定性やセキュリティに悪影響を及ぼさないための条件の明確化や技術検証を続けてきており、 RSSACSECSAC 等の技術専門家グループの検討を経て、問題なく登録するための条件と運用方法がほぼ明らかになったとのことです。今後、本年3月上旬に開催されるICANNローマ会合で議論ができるように、2月中に検討結果を公開し、コミュニティからの意見をもらい、そのフィードバックをもってルートゾーンへのIPv6アドレス登録を開始すると述べました。したがって、早ければ4月にも登録が開始されるであろうとのことでした。これにより、インターネットにおけるIPv6の展開がさらに推進されることになります。

DNSモニタリング

DNSは、ドメイン名登録者も含め、数多くの独立した組織や個人が持つネームサーバが分散協調して動作するデータベースシステムです。DNSはインターネットの根幹を支えるシステムですが、全体としてのDNSの健全な運用を常に維持するためには、分散した各ネームサーバが持つそれぞれのデータが互いに無矛盾であること、各ネームサーバが正常に動作していること等を常時確認し、問題がある場合は適切に対処することが重要です。

サーバ動作の正常性を確認しておくために、たとえば応答の有無、応答が得られるのにかかる時間等のQoSを常時測定し、リアルタイムに確認することは重要であり、いくつかの組織からそのモニタリングを行う仕組みの提供が行われています。 RIPE NCC では、dnsmonというモニタリングツールにより、ネームサーバに対して世界中からその動作状況をモニタリングする仕組みが提供されており、ルートサーバやいくつかのccTLDネームサーバに対するモニタリングの結果が公開されています。

また、データの無矛盾性に関しても、RIPE NCCが割り振ったIPアドレスに対し、いくつかの観点でネームサーバの設定内容の正当性をチェックし、その結果をIPアドレス登録者に通知するサービスが2004年の1月から2月にかけて実施されています。3月1日以降は、矛盾を持つデータが検出された場合は、インターネット全体に与える影響を軽減するため、そのデータをRIPE NCCが管理する逆引きネームサーバから削除するという措置が予定されています。

ENUMトライアル

RIPE NCCは、ITU と協力して、国番号(Country Code; 国を表す電話番号:日本は81)をENUMトライアル用ドメイン名として、e164.arpaの配下に登録する活動を行っています。この活動の現状報告として、24の国番号がこれまでにドメイン名として正式に登録されていることが報告されました。

続いて、アイルランド、日本、英国、ポーランド、スウェーデン、オランダより、各国のENUMトライアルの状況が報告されました。総体としては、各国とも技術トライアルのフェーズにあるところが多く、技術トライアルを終了したところでも、ビジネスモデルをさらにその技術の上に積み重ねるための検討、調整をしているという段階であることが報告されました。JPRSからは、ETJP(ENUM Trial Japan)の活動状況とともに、トライアルで使われているENUMのアプリケーションソフトウェアの紹介をしましたが、その結果、アプリケーションソフトウェアの国間の共有利用の可能性について議論がありました。また、電気通信に関するヨーロッパの技術標準化組織であるETSI(The European Telecommunications Standard Institute)からは、国を横断したENUMの連動試験の開始が提案されました。

関連URI



本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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