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ドメイン名関連会議報告

2005年

ICANNマルデルプラタ会合報告

~ccTLD関連動向~

2005/04/25


ICANNマルデルプラタ会合における、ccTLD(Country Code Top Level Domain)関連の動向をお伝えします。

会議風景
会議風景

wwTLD会合

2005年4月3日、ccTLDレジストリを対象に、World Wide Alliance of Top Level Domain-names(wwTLD)が会合を開催しました。約40のccTLDから60名程度が出席し、日本からは.JPのレジストリであるJPRSが参加しました。

wwTLDは、1999年にヨーロッパ、アジアなどのccTLDレジストリが自主的に立ち上げたボランティアの連合で、ICANNに対するccTLD代表評議員選出、ccTLDとしての意見集約、情報交換などの活動を行ってきました。その後、2003年のccNSO(Country Code Names Supporting Organization:国コードドメイン名支持組織)の設置に伴い、ICANNへの代表選出や意見集約といった役割は、ccNSOに移行しました。

今日、wwTLDでは、ccTLDレジストリによる情報交換に焦点を絞り、ICANN会議に先だっての会合開催、メーリングリストでの活動等を続けています。
ccNSOの立ち上げから数ヵ月間は、ccNSOとICANN理事会の関係定義に反対する非会員のレジストリがwwTLDを主導し、ccTLDレジストリコミュニティを分断させるかのような動きもありました。しかし、最近では、会員および非会員のレジストリが協働し、業務やポリシーに関する実務的な情報の交換を行っています。

今回のwwTLD会合では、ドメイン名登録ポリシーのケーススタディや、世界のドメイン名市場に関する調査報告等が行われました。

ケーススタディでは、ヨーロッパ、北米等のccTLDレジストリから、ドメイン名登録規則に関する状況報告が行われました。そして、過去に厳格な登録規則を設けていた複数のccTLDにおいて、登録審査(特に書類審査)の簡素化や、1 組織で登録できるドメイン名数の制限緩和を進めていることが明らかになりました。

ドメイン名市場に関する調査報告では、2004年第4四半期を対象に、世界のgTLDおよびccTLDの登録数の伸びを調査した結果が報告されました。報告によると、全世界的に登録および更新件数は継続的な拡大傾向にあり、期間中の登録ドメイン名数(累積)は約7,140万件(前年同期比18%増)に達しました。

ccNSOの動向

ccNSOは、4月4日から6日にかけて会議を行いました。ccNSO会員に加え、非会員のccTLDレジストリも参加したため、出席者は上述のwwTLD会合とほぼ同じでした。

ccNSO会合では、Accountability Framework、ICANNの戦略計画案に関する議論、IANA業務報告、GAC(政府諮問委員会)との意見交換などが行われました。

中でも特に注目を集めたのは、Accountability Frameworkガイドラインの項目作りでした。この Accountability Frameworkガイドラインは、インターネットの安定性維持のために、ccTLDレジストリがローカルレベルで、またICANN がグローバルレベルでそれぞれに果たすべきお互いの責務を保証する文書で、ccNSOのワーキンググループ(チェア:JPRS 堀田博文)において検討が進められています。まだ項目を定義している段階ですが、8月に文書化することを目標にしています。

現状、以下の項目が概ね合意されつつあります。

・ccTLDレジストリの責務
   - ccTLDのゾーンファイル生成と維持
   - ccTLDネームサービスの維持
   - RFC1591、1034、1035などの関連標準への準拠
   - 信頼性、安定性、相互運用性あるDNSの維持
   - セキュリティと安定性の維持
   - ccTLD管理者に関する情報の正確性と完全性
   - ICANNへの資金拠出

・ICANNの責務
   - 権威ある(authoritative)ルートデータベースの維持
   - タイムリーなネームサーバ情報更新
   - ルートゾーンWhois情報の公開
   - 権威あるルートネームサーバシステムの確実な運用
   - 権威あるレコードの維持と監査
   - IANAにおける担当者変更時の通知

各ccNSO会員レジストリは、このガイドラインに基づき、各ローカルインターネットコミュニティの事情を考慮した形で個別にICANNと正式な合意を交わすことになります。このFrameworkを通じて各ccTLDレジストリとICANNがフォーマルに責任関係を保証できれば、ICANNの組織基盤の安定化、ひいてはインターネット資源管理全体の安定性維持にも寄与できると、ccNSOでは期待しています。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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