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ドメイン名関連会議報告

2005年

AP* Retreat会合報告

2005/09/07


2005年8月22日にAP*(APstar) Retreat会合が台北において開催されました。

AP* Retreatは、アジア太平洋地域のインターネット団体の代表や、各国・地域で重要な役割を担っている組織から参加者が集い、年に1~2回開催されています。活動状況の報告を通じて相互の情報を共有し、さらにインターネットに関連する現在進行形の課題に対して、アジア太平洋地域のコミュニティ全体としてどう取り組むべきかの議論が行われています。

今回の会合では、アジア太平洋地域のインターネットの歴史編纂作業の進め方、WSIS(the World Summit on Information Society:世界情報社会サミット)やWGIG(Working Group on Internet Governance:国連事務総長の元に設けられたインターネットガバナンスに関するワーキンググループ)で行われているインターネットガバナンスに関する議論へのアジア太平洋地域からの貢献のあり方、今後アジア太平洋地域のインターネットコミュニティを牽引する存在となることが期待される人材の育成方法等について議論が行われました。

アジア太平洋地域のインターネット関連組織からの活動報告

AP* Retreat会議の前半では、アジア太平洋地域のインターネット関連各組織から、この半年間の活動と今後の予定について報告が行われました。今回のAP* Retreatで活動報告を行ったのは、次の8団体です。

・APAN
: Asia Pacific Advanced Network Consortium
・APCERT
: Asia Pacific Computer Emergency Response Team
・APEET
: Asia Pacific ENUM Engineering Team
・APNIC
: Asia Pacific Network Information Centre
・APNG
: Asia Pacific Networking Group
・APRUNet
: Association of Pacific Rim Universities
・APTLD
: Asia Pacific Top-Level Domain Association
・intERLab@AIT
: Internet Education and Research Laboratory @ Asian Institute of Technology

アジア太平洋地域のインターネット関連トピックスの報告と討論

引き続き、アジア太平洋地域における、インターネットの歴史編纂、インターネットガバナンス、人材育成の3つについて報告と議論が行われました。

1つ目のテーマであるアジア太平洋地域のインターネットの歴史編纂については、今年の2月に京都で開催されたAP* Retreat会議において、積極的に取り組み、展開していくことが確認されています。今回の会合では、APNG History Committeeの一員として歴史編纂作業の中心的役割を担っているJPRSの遠藤淳から、この半年間のAP* 事務局とAPNGの作業について進捗報告を行いました。
続いて、KAIST(韓国科学技術院)のKilnam Chon氏が作成したペーパー"A Brief History of the Internet in Asia"の最新版を会議参加者で確認しました。最新版のペーパーは、これまでにメーリングリスト上で行われたコメントと、APNGが実施した各国・地域における最初の電子メールとIP接続の時期に関する調査結果を反映した内容となっています。このペーパーは次のURIで公開されています。

関連URI



上記報告の後、今後の進め方や手法についての意見交換が行われ、今後も歴史編纂活動を続けていくことが確認されました。また、TWNICのChing Chiao氏から、今回の会合開催地である台湾でのインターネット発展の歴史と最新事情について報告が行われ、台湾における状況についての知見が広がることとなりました。

会議風景
発表を行うTWNICのChing Chiao氏

その後、2つ目のテーマであるインターネットガバナンスの関連動向について、報告と議論が行われました。まず、APNICのPaul Wilson氏から、アジア太平洋情報開発プログラム(APDIP)による、インターネットガバナンス・オープン地域ダイアログプロジェクト(ORDIG)の活動が紹介されました。ORDIGは、メーリングリストによる議論やオンラインアンケートなどを通じて、アジア太平洋地域のインターネット関係者の声を集め、インターネットガバナンスについての合意形成の基盤を作ろうという試みです。

引き続き、ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉氏からWSISやWGIGの動向およびICANN ALAC(At-Large Advisory Committee)の最新動向について報告があり、参加者間で状況の共有が行われました。その後、NII(台湾)のKuo-Wei Wu氏(APNIC理事)から、AP RALO(Asia Pacific Regional AtLarge Organization)設立に向けての取り組みと今後の活動計画について報告が行われました。At-Largeの枠組みを通じて、ICANNに一般ユーザの声を届ける仕組みをどのように構築していくかは、アジア太平洋地域のインターネット関係者がこの数年に渡って取り組んでいることの1つです。

3つ目のテーマである人材育成については、AITのKanchana Kanchanasut氏と東京大学の江崎浩氏が、SOI Asia(School of Internet)の活動についての発表を行いました。インターネットを使うことで、アジア地域の教育にどのように貢献できるのか、今後のインターネットの発展を支える人材育成の在り方について、意見交換が行われました。

今後のAP* Retreat

次回は、東京の秋葉原で開催される第21回 APAN会合に合わせ、2006年1月23日に行われる予定です。

関連URI



本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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