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ドメイン名関連会議報告

2006年

第67回 IETF Meeting 報告(後編)

2006/11/28

前編に続きまして、今回、後編として、IDN(国際化ドメイン名)、EAI(Email Address Internationalization)、ENUM(Telephone Number Mapping)に関する話題と、IETFに併設して開催されたIEPG(Internet Engineering Planning Group)について報告します。

APPAREA(Application area open meeting) BoF


APPAREA BoFでは、アプリケーションエリアのWGの報告や、標準化が終了し対応するWGが存在していない事項の更新についての議論が行われます。今回は、国際化ドメイン名(IDN)の改定についての報告が行われましたので紹介します。

国際化ドメイン名の改定については、John Klensin氏から、現在小人数のデザインチームで検討を行っていること、標準化後に見つかった課題についてはRFC 4690へまとめたこと、その課題としてあげられている類似文字のセキュリティ問題、合成文字への対応、右から左に書く文字への対応、UNICODE 5.0への対応などの作業を行っていることが報告されました。この改訂により、IDNが安全になり、また多くの言語に対応できることになります。詳細は以下のインターネットドラフトをご覧下さい。

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EAI(Email Address Internationalization) WG


EAI WGは、メールアドレスを国際化し、ASCII文字以外の文字でもメールアドレスとして使用可能とするための方式を議論するWGです。EAI WGでは、まず実験(Experimental)のプロトコルを作り、評価を経て標準プロトコルにつなげていく予定です。

今回は、WGチェアが現在までの合意点と未解決の問題を提示し、それについて議論するという形で会議が進められました。結果として、全体の概要を定めたframeworkドキュメントについてはほぼ合意されたため、年内にIESGに提出し、標準化を進めることが合意されました。SMTPの拡張については新たな未決点の追加はありませんでしたが、ヘッダのUTF-8拡張とDowngrade(既存のシステムと互換性を維持するための変換)については方針がまだ合意されていないという状態になっています。WGチェアから、3本のコアドキュメント(SMTP拡張、UTF-8ヘッダ、Downgrade)については、次回のIETFミーティングまでに完成させることが提案されました。

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ENUM(Telephone Number Mapping) WG


ENUM WGは、ENUM技術の標準の決定、運用のための技術資料の作成、およびENUM運用に関する情報交換を行うためのWGです。

前回のミーティングからは新規に発行されたRFCはありませんが、番号ポータビリティなどをENUMで実装するために提案されたPSTN ENUMサービスとENUMドメイン名の認証に関するドキュメントが発行直前となっています。また、IM、vcard、カレンダーなどのENUMサービス提案と、EDNS0ドキュメント、発信者情報に関するCNAM提案、インフラストラクチャENUMの要求仕様についてはWGからIESGに提出され、標準化作業が進められていることが報告されました。

今回の会議では、前回から継続してENUM実装者向けのドキュメント、ENUMサービス、インフラストラクチャENUM、ENUMプロトコルであるRFC3761そのものを大規模に更新する議論が行われました。

ここ数回にわたりWGでの議論対象となってきたENUM実装者向けのドキュメントである「ENUM Implementation Issues and Experiences」(L. Conroy氏とJPRS藤原和典の共著)について、EDNS0についての勧告を別ドキュメント(draft-ietf-enum-edns0-00.txt)に分離しましたが、元々のドキュメントからは削除されていなかったため、修正の上進めることが合意されました。

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ENUMプロトコル更新の議論では、前回のミーティングで提案された抜本的な見直し案とは異なり、従来のENUM標準と互換性のある方式が提案されました。従来通りDDDSを使う方式で、従来Flagとして"U"を用い、正規表現を処理してURIを得ていた部分を変更し、Flagとして"D"を追加し、Regexpフィールドを使わずにドメイン名フィールドを使用し、そのドメイン名に対してURIリソースレコードを記述するという方法です。前回のIETF報告で報告した問題点の多くは解決されないこととなりましたが、正規表現の評価をする必要がなくなります。

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今回の提案方式では、従来の、

  <enumドメイン名> NAPTR 10 100 "u" "E2U+sip" "!^.*$!sip:info@...!" .
  <enumドメイン名> NAPTR 10 100 "u" "E2U+h323" "!^.*$!h323:info@...!" .

という記述を、

  <enumドメイン名> NAPTR 10 100 "D" "E2U+sip" "" <別のドメイン名>
  <enumドメイン名> NAPTR 10 100 "D" "E2U+h323" "" <別のドメイン名>
  _sip._e2u.<別のドメイン名> URI 10 10 "sip:info@..."
  _h323._e2u.<別のドメイン名> URI 10 10 "h323:info@..."

のように記述することとなります。

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IEPG(Internet Engineering Planning Group) Meeting


IEPGは、インターネット運用についての情報交換を行うグループで、IETF会議に併せて開催されています。ここでは、DNSやインターネットインフラに関する発表をいくつかピックアップして紹介します。

これまではIPアドレスの枯渇という観点の報告が多くありましたが、今回は経路情報の数という観点での報告がありました。IABからは、経路制御のスケーラビリティ問題についての検討を開始したことが報告されました。そのなかで、IPアドレスは機器を識別するIDという機能をもち、同時に経路制御の識別子(Locator)でもあるということが問題であるという指摘があり、IABでは緊急にIDとLocatorを分離するアーキテクチャの検討を行うことになりました。

また、CISCOのVince Fuller氏から、これまでの経路数の推移と将来の経路数の予測について報告され、さらにルータなどの機器が耐えられるかどうかについての推定についても報告されました。

この問題については、インターネットプロトコルの根幹にかかわるため、これから深く議論されることになります。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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