JPドメイン名のサービス案内、ドメイン名・DNSに関連する情報提供サイト


ドメイン名関連会議報告

2026年

[Interop Tokyo 2026出展報告] 「JPRSのDNS本」が7年ぶりの大改訂!『DNSがよくわかる教科書 第2版』のご紹介

本記事では、6月10日から12日までの3日間にわたり幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2026」の出展ブースで実施した、ミニセミナー「JPRSのDNS本が7年ぶりの大改訂!『DNSがよくわかる教科書 第2版』のご紹介」の内容についてご紹介します。

本ミニセミナーは、技術的な内容として、JPRSの技術陣が執筆・監修し、7年ぶりに改訂された書籍『DNSがよくわかる教科書 第2版』の改訂ポイントと適切な使い方を紹介したものです。

ミニセミナーの資料を公開していますので、併せてご参考にしてください。

『DNSがよくわかる教科書 第2版』の改訂方針

第1版となる書籍『DNSがよくわかる教科書』は2018年11月22日に刊行され、紙版・電子版を合わせた累計発行部数が3万部を超えるなど、「JPRSのDNS本」として数多くの方々にご支持・ご活用いただきました。JPRSでも、本書を新人研修、大学での出張講義・ハンズオンなど、社内外のさまざまな場面で活用してきました(図1)。

(図1)

(図1)


改訂にあたり、第2版をどのような書籍にするかの方針を定めました。数多くのご支持をいただいた第1版の「初心者向けにDNSをゼロからわかりやすく、正確な内容を体系的に解説する」というコンセプトを維持しつつ、教科書として最新情報に対応し、完成度を高めることを、第2版のコンセプトとしました(図2)。

(図2)

(図2)


『DNSがよくわかる教科書 第2版』の改訂ポイント

セミナーでは第2版の改訂ポイントについて、実例を交えてご紹介しました。

▽ドメイン名・DNSの最新動向を追加


第1版の刊行後に標準化された項目、普及した項目の解説を追加しました。TLDレジストリの実務を請け負うレジストリサービスプロバイダー、Webサービスの情報をまとめて記述するHTTPSレコード、サーバー証明書の発行許可の情報を記述するCAAレコード、名前解決のトラブルシューティングに役立つExtended DNS Errors、CDNサービスの普及に伴い広く使われるようになったEDNS Client Subnetなどの項目を追加しています(図3)。

(図3)

(図3)


▽読みやすさを高めるためのコラムを拡充


第1版の特長であった、読みやすさを高めるためのコラムを追加・拡充しました。「ドメイン名に絵文字は使える?」といった素朴な疑問、「例示用のドメイン名」「ルートサーバーの運用体制」といった、知られているようで意外に知られていない項目、「国際化ドメイン名の悪用と対策」「ブロッキングとフィルダリングの違い」など、DNSの管理運用に関わる重要な項目を解説したコラムを追加・拡充しています(図4)。

(図4)

(図4)


▽運用の現場で役立つ情報の解説を追加


JPRSの新人研修や大学での出張講義を通じて得られた知見・経験、第1版の読者の皆様からいただいたご意見をフィードバックする形で、運用の現場で役立つ情報を追加しました。権威DNSサーバーが返す6種類の応答の見分け方、ドメイン名管理権限の確認に使われるTXTレコードの取り扱いに関する注意事項、delvコマンドを使ったDNSSECの動作確認などの解説を追加しています(図5)。

(図5)

(図5)


▽最新のセキュリティ・プライバシーに対応


サービス終了後に残っているDNS設定を利用してドメイン名を乗っ取るサブドメインテイクオーバー、DNSSECとポスト量子暗号、QNAME minimisationによる名前解決、利用者のプライバシーを高める技術であるOblivious DNS over HTTPSなどの解説を追加しています(図6)。

(図6)

(図6)


▽進行中の項目を解説した新章を追加


新しいリソースレコードタイプの追加、DNSを用いたサイトブロッキング、委任の再設計、ルートゾーンのアルゴリズムロールオーバーに向けた検討など、DNSに関する進行中の項目を解説するため、15章「DNSに関する最新の動き」を追加しました(図7)。

(図7)

(図7)


▽読みやすくするための注釈・番号を追加


digコマンドの結果やDNSの動作を説明する図版に注釈・番号を追加し、出力のどの部分が重要で、どう読み下してどう判断すればいいか、どの順番で何が起こっているかといった項目が、明確になるようにしました(図8)(図9)。

(図8)

(図8)


(図9)

(図9)


『DNSがよくわかる教科書 第2版』の適切な使い方

『DNSがよくわかる教科書 第2版』は基礎編・実践編・アドバンス編の3部構成となっており、付録に「DNS関連の主なRFC」が付属しています。

セミナーでは各編の読み方と付録の使い方について、編ごとにご紹介しました。

▽基礎編の読み方


基礎編はDNSを初めて学ぶ方を主な対象として、DNSが作られた背景、ドメイン名の登録管理の仕組み、DNSの名前解決、DNSの構成要素と具体的な動作について、順を追って解説しています。

説明にストーリー性を持たせ、わかりやすく構成しているため、すべての方々に通読いただきたい内容になっています。

▽実践編の読み方


実践編はシステムやネットワークの運用に関わる技術者を主な対象として、権威DNSサーバーの設定、フルリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)の設定、DNSの動作確認、サイバー攻撃とその対策など、運用に役立つ実践的な項目を解説しています。

DNSの構成要素・構成技術ごとに解説を加えているため、必ずしも通読する必要はなく、自分の担当する項目や知りたい項目から読み始められる内容になっています。

▽アドバンス編の読み方


アドバンス編は実践編の読者を主な対象として、実践編で記述しなかった運用ノウハウ、DNSの引っ越し、DNSSEC、DNSプライバシー、DNSに関する最近の動きなどの項目を解説しています。そのため、実践編と同様に必ずしも通読する必要はなく、自分の担当する項目や知りたい項目から読み始めることできます。

アドバンス編では、それぞれの技術の概要を解説しています。そのため、DNSをより深く知るためのリファレンスとして、詳細情報や最新情報については関連するRFCの原文や解説文書などを参照するとよいでしょう。

▽付録の使い方


付録「DNS関連の主なRFC」ではDNS関連の主なRFCについて、本書で概要を説明したものを中心に紹介しています。第1版から網羅姓が大幅に向上しており、RFCの番号から、その概要と掲載されている章・節を調べる際に活用できます(図10)。

(図10)

(図10)


『DNSがよくわかる教科書 第2版』のこれから

第1版と同様、第2版も増刷時にページレイアウトを変更しない範囲で、内容のメンテナンスを実施予定です。メンテナンス対象の項目として、本文・付録のRFCの追加・更新、新gTLD追加募集の進捗に伴う2章の更新、進行中の内容を記述した15章の更新などが挙げられます。

更新内容は、出版社の公式サポートページに掲載される予定です。

▽『第3版』のタイミングは?


DNSは枯れたプロトコルではなく、現在も機能拡張・変化し続けています。DNSが変化し、第2版がDNSの教科書として十分ではなくなった際には、第3版を制作することになるでしょう。

第2版の15章で紹介したDELEGレコードが標準化され、本格的に使われ始める時は、その有力候補の一つです。その時期は現時点で具体的ではありませんが、2025年11月に開催されたInternet Week 2025会場のアンケートでは、2035年以降という意見が多数でした(図11)。

(図11)

(図11)