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ドメイン名関連会議報告

2005年

ICANNマルデルプラタ会合報告

~IDNに関する議論、DNSSECミニワークショップ~

2005/04/25


2005年4月4日から8日まで、アルゼンチンのブエノスアイレス市の南方400kmにあるマルデルプラタ(Mar del Plata)にて、ICANN会合が開催されました。
5日間行われた今回のICANN会合には、80以上の国・地域から、600名以上が参加しました。

今回の主な決議事項は以下の通りです。詳細はICANNの決議書として公開されています。

・AfriNICを5番目の地域インターネットレジストリ(Regional Internet Registry:RIR)として承認
・IPv4アドレスブロックをIANAがRIRに割り振る際に適用するポリシーの承認
・新スポンサー付TLD(sTLD)「.JOBS」「.TRAVEL」の承認

これらの他にも、ワークショップやパブリックフォーラム等で話題になった事項がありました。本号では、そのうちの2つ、IDNの議論とDNSSECワークショップについてご紹介します。

会議風景
会議風景

IDN(国際化ドメイン名)に関する議論

今回、IDNに関して特に正式なプログラムはありませんでしたが、ICANN関係者、理事からは公の場で何度か発言がありました。今後のICANN戦略計画に関する理事会の議論においても、IDNをICANNの優先事項に加えるべきとの発言も目立ちました。このことから、IDNの実装とポリシーにおけるグローバルな調整にICANNが引き続きコミットしていきたいとの姿勢がうかがえました。

また、最近のIDNのフィッシング詐欺脆弱性の指摘に関連し、JPRSをはじめとするTLDレジストリが行った迅速な情報提供について、ICANNから感謝の意が述べられました。そして、今後も本件およびIDNポリシー全般について様々な情報を収集し、ICANNがWeb等で提供していく予定であるため、TLDレジストリ他関係者の協力が不可欠であるとの呼びかけが行われました。

この他、トップレベルへのIDN導入について理事会で議論が行われました。
この問題は、過去に理事会のIDN委員会が議論していた頃から、あまり進展が見られません。TLD、特にgTLDにおいては、IDNでのトップレベルドメインが各方面に与える影響が大きく、調整が困難であることがその要因のひとつです。
一部の理事から、実験的に2、3のTLDに限定してルートにIDNを登録すべきとの提案もありましたが、具体的な議論はその場では行われませんでした。理事長Vinton Cerf 氏は、IDN化したTLDの影響の大きさから、拙速な導入に対して懸念を示しました。ただ、重要な問題であることは理事会で認識され、今後引き続き議論することを確認しました。

DNSSEC(DNS Security Extensions)ミニワークショップ

4月5日に、DNSSECミニワークショップが開催されました。並行して他の会議が開催されていたにも関わらず、会場には約100名が集まり、DNSSECへの関心の高さが伝わってきました。

このワークショップは、DNSSEC Deployment Initiativeが中心となって開催されたものです。DNSSEC Deployment Initiativeは、DNSSECに関する認知度向上、実装に関する課題の整理、実装のロードマップ作成を目的として立ち上がったグループで、ccTLD、gTLD、ソフトウェアベンダー、各国政府等が参加しています。2月にAPRICOTで、3月にはIETFにおいて会議を開催してきました。

今回のワークショップでは、DNSSECの基本的技術と実装の現状が紹介されました。最初にDNS攻撃のデモンストレーションを行うなど、参加者の注意をひく工夫もなされていました。その後はパネルディスカッションとなり、.BR(ブラジル)、.SE(スウェーデン)、.biz、.infoでの実装状況や、VeriSignが.netにおいて行っているパイロットプロジェクトなどの事例紹介がありました。それら発表の中で、DNSSECが、様々な関連サービス(例:レジストラのプロビジョニング、デスクトップクライアントソフトウェア、ISPなど)に変更をもたらし、名前解決自体も複雑にすることから、実際に大規模なDNSで運用した場合の動作を慎重に見極めなければならないとの指摘がありました。

今回は基礎的な内容が中心でしたが、今後は、レジストリ、レジストラでDNSSECを導入するにあたって考慮すべき点について、議論を深めていく予定です。今年7月のICANN会合でレジストリの観点からDNSSECを検討するワークショップが、10月のICANN会合ではレジストラの観点から同様のワークショップが開催されます。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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