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2005年 ドメイン名重要ニュース

2005年の多くのニュースの中から、ドメイン名ニュース担当者が選んだ、大きな話題を5つご紹介します。

1TLDに関する大きな動き

2005年は、新TLDの登場や.NETレジストリの公募等、TLDに関して大きな動きがあった年でした。

その1つ目は、新たなTLDが登場したことです。2005年に新たに設置が承認されたTLDは、.EU(欧州連合を示すccTLD)、.JOBS(人事管理業務関係者用)、.TRAVEL(旅行関連業界用)、.MOBI(モバイル関係用)、.CAT(カタロニアの言語/文化コミュニティ用)の計5つで、TLDの追加は、2000年11月に「.BIZ」「.INFO」などの7つのTLDを設置して以来のこととなります。

 2005年に新設されたTLD

TLD 登録対象 承認 登録受付開始
.EU EU内の企業・個人
3月
12月
.JOBS 人事管理業務関係者用
4月
--
.TRAVEL 旅行関連業界用
4月
10月
.MOBI モバイル関係用
7月
--
.CAT カタロニアの言語/文化コミュニティ用
9月
--

これ以外にもICANNへ新設が提案されているものがあり、今後も新たなTLDが設置される動きが続きそうです。

新設の提案が行われているTLD

TLD 登録対象 状態(2005年12月現在)
.POST 郵便制度との統合 選定され交渉中
.TEL (1) あらゆる通信 選定され交渉中
.ASIA アジア太平洋地域の個人・事業者 選定され交渉中
.XXX アダルトエンターテイメント ICANNが承認保留中
.MAIL スパム防止 ICANNが検討中
.TEL (2) 電話番号とのマッピング ICANNが検討中

2つ目の大きな動きは、.NETのレジストリの公募が行われたことです。これは、2005年6月末でICANNと米国VeriSign社との.NETレジストリの契約が終了することに伴って行われたもので、全世界から5社の応募がありました。

選定審査の結果、それまでも.NETレジストリであった米国VeriSign社が、引き続き2005年7月1日から6年間の.NETレジストリに選ばれました。

この公募には、JPRSと米国NeuLevel社(.BIZのレジストリ)の合弁会社であるSentan Registry Services社も応募しました。JPドメイン名およびBIZドメイン名のレジストリ運営実績を基にしたSentan Registry Services社の提案は非常に高い評価を受け、第1位の米国VeriSign社に続く、僅差の第2位にランクされました。

2インターネット資源の管理体制は、当面現状維持に

「インターネットガバナンス」に関する議論を進展させるため、2004年11月に国連事務総長によってインターネットガバナンス・ワーキンググループ(WGIG)が設置されました。WGIGは、2005年11月までにインターネットガバナンスに関する検討を実施し、WSISへ検討結果をインプットすることを目標に活動が行われました。

WGIGでは、インターネットガバナンスの定義と検討課題リストの作成が行われ、数回のパブリックコメント募集を経た上で、2005年6月に最終報告書が取りまとめられました。この中で、インターネット資源の管理のあり方について4つのモデル案が提示されました。

JPRSは、WGIGのパブリックコメント募集に対し、IGTF(Internet Governance Task Force of Japan)の活動を通じ、現在の民間主導によるインターネットガバナンスの体制を支持することを主旨とするコメントを提出しました。

11月に開催されたWSISチュニス会合では、WGIGからのインプットを受けた議論が行われ、その結果、当面はICANNを軸とする民間主導の現状のインターネット資源の管理体制が維持されることになりました。また、今後様々な関係者によって議論を行う場として、インターネットガバナンスフォーラム(IGF)の設立が決議され、第1回会合がギリシャのアテネで2006年第2四半期までに開催されることが決まりました。

3国際化ドメイン名(IDN)の利用および対応アプリケーションが増加

2005年は、IDNに対応したアプリケーションやサービスのリリースが進み、これまでIDNへの対応を実装済みだったパソコン向けのブラウザに加え、携帯電話向けのブラウザ、SSL証明書、blog構築ソフト、検索サイトでの結果表示等、幅広い分野のアプリケーションやサービスでIDNへの対応が進みました。2006年3月には、IDNに対応したInternet Explorer7のプレリリース版が公開される予定となっており、2006年は2005年以上にIDNの利用環境が整っていくものと思われます。

また、1月に国際化URI(IRI:Internationalized URI)の仕様がRFC3987として発行され、URI全体の文字列の国際化方式が規定されました。これにより、ドメイン名部分だけでなく、メールアドレスやWebのURLなど、インターネット上の場所を示すために使われる種々の文字列を国際化するための基本的な方式が決まりました。これを受け、11月に開催されたIETFでは、電子メールアドレスの@の左側の国際化に関する標準化検討を開始するためにワーキンググループを設置することが正式に合意されました。

JPRSでは、日本語JPドメイン名の利用を推進するために、1月には「人名」を用いた日本語JPドメイン名をまとめたサイト「人名辞典.jp」を開設、12月には駅名を用いた日本語JPドメイン名をURLとする「駅街ガイド.jp」を開始しました。

また、4月と10月には「日食中継.jp」を用いたアクセスに関する調査を実施し、それぞれおよそ41万件、55万件の日本語JPドメイン名によるアクセスがありました。

日本語JPドメイン名の登録数は、2005年6月1日時点で10万件を越え、順調な伸びを見せています。

4フィッシング詐欺が急増。手口も巧妙に。

2005年は、フィッシングに代表される、メールの差出人やWebのURLを偽装する詐欺行為が急増しました。また、世界各国の文字の中から、見た目の似ている文字を使用したIDNを使うフィッシングも発生し、この問題は世界中で大きく取り扱われました。

文字の見た目が似ているために引き起こされる問題については、既にIDNの標準化の過程で認識されており、問題の発生を抑制する運用ルールとしてRFC3747が存在します。また、ICANNにより、運用ルールを適用する際の方針を示すガイドラインとして、IDNの登録を行うレジストリ向けに「IDN実装ガイドライン(v1.0)」が発行されています。

今回発生した問題について、IDNの登録について実績のあるJPRS、CENTRAPTLDは、それぞれICANNに対し問題解決に向けたコメントを提出しました。また、UNICODEコンソーシアムやIAB等による技術的な検討と報告も行われ、JPRSもこのレポートに基づき、日本語JPドメイン名として登録可能な文字を再度精査し、「〃」を登録対象外とする対応を行いました。

また、ICANNはIDN実装ガイドラインについての見直しを実施し、「IDN実装ガイドライン(v2.0)」が公開されました。この見直しの作業には、各国のレジストリ、レジストラが原案作成に携わり、JPRSもこれに協力しました。

IDN以外の問題としては、ネームサーバの適切な運用の重要性を再認識させられるケースが散見しました。JPRSも、ネームサーバの適切な運用についての注意喚起や、リスク削減のための活動を実施しました。この取り組みは、今後も継続して行う予定です。

5ドメイン名の登録者情報の重要性が再認識される

ドメイン名の登録者等に関する情報は、各種トラブル発生時の連絡を自律的に行うことができるよう、各レジストリやレジストラが提供する「Whois」によって公開されています。フィッシングなどの詐欺行為の発生に伴い、改めてドメイン名の登録者等に関する情報への関心が世界的に高まっています。

例えば、.US(米国のccTLD)では2005年2月から、登録者名のプロキシサービス(実際の登録者以外の名義でドメイン名を登録すること)が禁止されました。また12月には、米国政府機関によって.COM、.NET、.ORGを対象としたWhois情報の正確性について調査が行われ、サンプル調査の結果から推測すると、約230万件のドメイン名が明らかに虚偽と思われる情報を使って登録されているという結果が報告されました。

一方、日本では2005年4月1日に「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」が完全施行されました。この法律の基本理念は、個人の人格の尊重と、企業活動における個人情報の有効活用という2つの考え方を調和させることにあります。JPRSもこれに対応し、JPドメイン名のサービスの一部変更と文書の整備を行いました。

個人情報の保護とドメイン名登録者等の情報提供のバランスが取れた仕組みをどのように実現するかというテーマについて、今後、議論が深まっていくものと思われます。

番外編:汎用JPドメイン名の登録数が属性型・地域型JPドメイン名の数を逆転

2005年2月1日に「○○○.jp」という形式の汎用JPドメイン名の累計登録数が、汎用JPドメイン名の登録サービス開始(2001年2月)以来初めて「co.jp」「ne.jp」などの属性型・地域型JPドメイン名の累計登録数を上回りました。

2005年6月1日には、汎用JPドメイン名と属性型・地域型JPドメイン名を合計した登録数が70万件を超え、この時点でアジア第1位(世界第7位)のccTLDとなりました。