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ドメイン名関連情報

2025年 ドメイン名重要ニュース

2025年の多くのニュースの中から、ドメイン名ニュース担当者が選んだ大きな話題を五つご紹介します。

1サブドメインテイクオーバー・NSテイクオーバーの被害事例が相次いで報告

2025年1月に、ドメイン名の不正利用による被害事例が相次いで報道されました。被害に遭ったのはいずれも「sub.example.co.jp」のような、その組織のドメイン名のサブドメインで、期間限定のWebサイトで使われた後、使用を終了したドメイン名でした。

使用を終了したドメイン名を第三者に使われるパターンは、大きく2種類に分けられます。一つはドロップキャッチに代表される廃止されたドメイン名の再登録、もう一つは終了後に残されたままになっているDNS設定を勝手に使い、Webサイトを復活させるものです。

今回報道された事例はいずれも後者によるもので、「サブドメインテイクオーバー」「NSテイクオーバー」と呼ばれる手法が使われました。いずれも、「ダングリングレコード」と呼ばれる、指定された名前の実体が無効になっているCNAMEレコードやNSレコードを勝手に使い、参照先の事業者に同じサブドメインを設定することで、Webサイトを復活させます。

サブドメインテイクオーバー・NSテイクオーバーでは、ホスティングなどの外部サービスを利用するDNS運用者、サービスを提供する事業者の双方における対策が重要です。DNS運用者の対策として、Webサイト終了時の不要になったDNS設定の削除・変更と定期的なチェック、事業者の対策として、サービス開始時の顧客のドメイン名管理権限の確認、サービス終了時の顧客のDNS設定削除の確認、テイクオーバーが困難なサービスの構築・運用が挙げられます。

JPRSでは事例の発生を受け、本件に関する注意喚起と啓発活動を継続的に実施しています。詳細につきましては、参考リンクの情報をご参照ください。

2ICANN 2026年4月から新たなgTLDの追加募集を開始へ

ICANNが進めている新たなgTLD追加募集の実施に向けた動きが、いよいよ最終段階を迎えています。

ICANN理事会は、2025年11月に開催された第84回ICANN会合(ICANN84)において、申請者ガイドブック(Applicant Guidebook:AGB)を、2025年12月30日までに公開する決議を行いました。ICANNによると、2025年12月時点で、TLD申請の受付開始を2026年4月とするスケジュールに変更はなく、以下の通りとなっています。

  • ・2026年4月~8月:TLD申請受付期間
  • ・2026年10月:申請文字列公開、代替文字列変更期間(2週間)
  • ・2026年10月~2027年4月:文字列審査
  • ・2026年11月:申請者/申請の審査順の抽選実施
  • ・2027年5月~:審査順に申請者/申請の審査開始

gTLDの追加募集については、過去、2000年、2003年、2012年に行われました。2000年と2003年の募集では、ICANNによって厳選された数件のgTLDのみが追加されるというものでしたが、前回2012年のgTLD追加募集では、応募の要項や要件が詳細に文書化され、応募内容がそれに適っていればいくつでも追加できる形に募集方法が変更されました。

これにより、企業や組織が、自らの企業名や組織名、ブランド名を使用したgTLDが多く新設されました。これらは「ブランドTLD」と呼ばれ、2026年からのgTLD追加募集でも、相当数登場することが見込まれます。

14年ぶりのgTLD追加募集を迎えるに当たり、注目と期待が高まっているブランドTLDですが、複雑な手続きや、多くのコストが掛かることも予想されます。

JPRSは、2012年時のgTLD募集で創設された「.jprs」のレジストリオペレーターとして、また、「.ntt」「.sakura」のブランドTLDの運用を支えるレジストリサービスプロバイダー(RSP)としての経験・実績を活かし、ブランドTLD導入をご検討されるお客様に対する支援「ブランドTLD総合サービス」という形で提供しています。

ブランドTLD導入をご検討されるお客様は、関連リンクのWebページよりぜひお問い合わせください。

3JPドメイン名の登録数が180万件を突破

2025年6月1日、JPドメイン名の登録数が180万件を突破しました。内訳は、「○○○.jp」という形式の汎用JPドメイン名が全体の68.1%と最も多く、「co.jp」「ne.jp」といった組織の種別ごとに区別されたドメイン名である属性型・地域型JPドメイン名が31.3%、「○○○.東京.jp」のように「.jp」の左側に当たるセカンドレベルドメイン部分に都道府県ラベルを含む都道府県型JPドメイン名が0.6%となっています。

JPドメイン名のレジストリであるJPRSは、社会のニーズに応え、より利用しやすいサービスを提供するべく、2025年6月2日にAC.JP/ED.JPドメイン名の仮登録制度に関するサービス改定を実施しました。

属性型JPドメイン名の仮登録とは、組織設立前や組織名変更前にドメイン名を登録することができる制度ですが、その後6カ月間以内に組織を設立して本登録をする必要がありました。本改訂では、AC.JP/ED.JPドメイン名については、組織設立または組織名変更の予定時期に応じて仮登録期間を延長できるようになりました。

本改訂は、AC.JP/ED.JPドメイン名の登録組織となる学校では、仮登録から半年間で設立することが難しい場合や、設立の半年以上前からWebサイトを通じた生徒募集を行いたいという要望があるといった背景を踏まえて実施されました。

JPRSは、今後もネットワークの基盤を支える企業として、より利用しやすく価値の高いJPドメイン名サービスの提供に努めてまいります。

4ドメイン名廃止後のトラブルやリスクに今年も注目が集まる

2025年も前年に引き続き、廃止されたドメイン名のドロップキャッチや関連するトラブル、リスクが大きな注目を集めました。ドロップキャッチとは、ドメイン名が廃止されて一定期間が過ぎ、再登録可能になるタイミングを狙って登録する行為を指します。行政機関や地方自治体、企業などが手放したドメイン名がドロップキャッチされ、オークションで売買されたり、怪しいサイトが立ち上げられていたり、といった事例が報告されています。

廃止されたドメイン名がWebサイトに使われていた場合、ブックマークや他サイトからのリンク、検索エンジンによる評価などがそのまま残っていることが多く、アクセス数などが見込めるため、悪用のターゲットとなり得ます。そのようなドメイン名は、オンラインカジノやフィッシングサイトに使われる可能性がある他、元の利用者のブランドやイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。

また、ドメイン名がメールアドレスとして使われていた場合も注意が必要です。廃止されたドメイン名を使って第三者が同じメールアドレスを作り、なりすましメールが送信される危険性があります。また、メールアドレスを他のサービスのログインIDなどとして利用していた場合には、パスワードの再設定機能などが悪用され、アカウントを乗っ取られたり、重要な情報が漏洩する可能性があります。

ドロップキャッチによるこうしたリスクを避けるためには、ドメインの更新忘れ防止や、計画的な廃止が重要です。特に、ドメイン名を廃止する際には、リスクを認識し、該当のWebサイトやメールアドレスを終了することの周知や、メールアドレスを利用したアカウントの設定変更や削除など、事前に十分な準備を実施することをお勧めします。

5大手クラウドサービスの障害によりDNSの重要性が改めて認識される

日本時間2025年10月20日~21日にかけ、Amazonが提供するAmazon Web Services(AWS)において大規模なサービス障害が発生し、話題となりました。また、日本時間2025年10月30日にMicrosoftが提供するAzureでも、大規模なサービス障害が発生しました。AWSとAzureはいずれも、インターネットのさまざまなサービスで使われており、影響はそれらのサービスにも及びました。

今回のサービス障害では、影響がそれぞれが提供するDNSにも及びました。AWSの障害では同社のDynamoDBエンドポイント「dynamodb.us-east-1.amazonaws.com」のDNSデータが設定されていない状態になったことでサーバーに接続できない状態になり、Azureの障害ではMicrosoft 365やAzureの入り口である「m365.cloud.microsoft」や「portal.azure.com」の名前解決に障害が発生したことで、サービスを利用できない状態になりました。

このように、AWSではDNSデータの障害、AzureではDNSの名前解決の障害により、障害の規模が大きくなりました。DNSではDNSデータと名前解決の双方が重要であり、どちらに障害が発生しても、サービスの利用・提供に致命的な影響が及びます。

そうした状況を防ぐため、DNSの運用では権威DNSサーバーやフルリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)といったDNSの構成要素と、サーバーに設定されるDNSデータの双方を守る必要があります。今回の障害はDNSにおける構成要素とDNSデータの双方の重要性が改めて認識される、重要な契機となりました。

番外編:JPRSがインターネットの国別トップレベルドメインを楽しく学べるポスターとクリアファイルの全国教育機関への無償配布を実施

JPRSは、ポスター及びクリアファイル『世界ドメイン紀行 世界遺産のとびら編』を全国の中学校・高等学校・高等専門学校などの教育機関を対象に、無償で配布しています。

このポスター・クリアファイルは、各国・地域の世界遺産を巡りながら、インターネットやドメイン名に関する知識を深めることができる内容になっています。ポスターに関しては、大きな世界地図が掲載されているため、地理的感覚も養うことが可能です。クリアファイルに関しては、中に紙を入れると文字が隠れる仕掛けになっており、クイズ形式で楽しく学んでいただけます。


本ポスター及びクリアファイルの申し込みは、2025年12月26日(金)まで受け付けています。配布をご希望の教育機関の方は関連リンクをご覧ください。