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メールマガジン「FROM JPRS」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2019/06/27━ ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.183 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ Interop Tokyo 2019 JPRS活動報告 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JPRSは今年も、6月12日から14日までの3日間にわたり幕張メッセで開催された 「Interop Tokyo 2019」の展示会にブース出展しました。Interop Tokyo 2019 は、最新のICTとそのソリューションを体感できるイベントで、来場者数は昨 年を上回る約15万6千人となりました。 JPRSブースでは、ミニセミナーや展示の形式でドメイン名とDNSの基礎知識や セキュリティやサーバー証明書、DNSに対するDDoS攻撃やその対策について情 報提供を行いました。 今回のFROM JPRSでは、JPRSブースで開催した以下の三つのミニセミナーの概 要をお届けします。今回のミニセミナーでは、ドメイン名とDNSだけでなく、 JPRSが2016年4月に提供を開始した「サーバー証明書」に関する話題や、DNSに 対するDDoS攻撃とその対策についても取り上げました。 1. インターネットでもやっぱり「名前」が大切! ドメイン名とDNSの基礎知識 2. インターネットの通信に安全を! 押さえておきたいHTTPS化とサーバー証明書の基本 3. オリンピックイヤーを控えて、改めて考える DNSに対するDDoS攻撃とその対策 ◇ ◇ ◇ ■インターネットでもやっぱり「名前」が大切! ドメイン名とDNSの基礎知識 WebサイトのURLやメールアドレスに使われるドメイン名はインターネットの利 用に欠かすことのできない「名前」です。ドメイン名の末尾にある「.jp」や 「.com」などの文字列「トップレベルドメイン(TLD)」は、国や地域に割り 当てられた2文字のccTLDと3文字以上のgTLDに大別できます。 また、TLDごとにICANN[*1]から委任される形でドメイン名の登録管理を行う 「レジストリ」と呼ばれる組織が存在します。日本に割り当てられたccTLD 「.jp」のレジストリがJPRSです。 [*1] Internet Corporation for Assigned Names and Numbersの略称で、ドメ イン名、IPアドレスなどのインターネット資源管理に関する調整を行う ために設立された民間の非営利法人です。 https://jprs.jp/glossary/index.php?ID=0028 個人や企業、組織が「△△△.jp」などのドメイン名を独自に登録するメリッ トとして、以下の項目が挙げられます。 ・好きな文字列をドメイン名として利用できるため、Webサイトの内容や、 どの企業のメールアドレスであるかを伝えやすくなる ・アドレスが短く、分かりやすくなる ・サービスプロバイダーを変更しても、アドレス変更の必要がない そして、DNS(Domain Name System)は、Webサイトにアクセスする際などに ドメイン名とIPアドレスの対応付けを行います。世界中に約3億5,000万件存在 するドメイン名[*2]の安定運用のため、DNSはルートサーバーから始まる階層 構造を取っており、JPRSの管理する「JP DNS」は日本のインターネットにおい て重要な存在です。 [*2] 詳細については以下をご参照ください。 The Verisign Domain Name Industry Brief Q4 2018(VeriSign) https://www.verisign.com/assets/domain-name-report-Q42018.pdf JPRSは150万件以上ある「.jp」の登録管理と、JP DNSの運用にとどまらず、 A~Mまで13系列存在するルートサーバーの一つである「Mルートサーバー」を WIDEプロジェクトと共同運用しています[*3]。また、ドメイン名・DNSに関す る技術の標準化やDNSの運用に携わる方々への情報提供など、さまざまな活動 に取り組んでいます。 [*3] ルートサーバーやMルートサーバーについては、以下をご参照ください。 JPRS トピックス&コラム No.6 インターネットの根幹を支える~ルートサーバーの状況とMルートサー バー~ https://jprs.jp/related-info/guide/topics-column/no6.html ■インターネットの通信に安全を! 押さえておきたいHTTPS化とサーバー証明書の基本 WebサイトのURLの先頭に付いている「http」や「https」。どちらもWebコンテ ンツを転送する通信手段ですが、「https」の「s」は「Secure(安全)」を表 し、「http」で行う通信よりも安全であることを示しています。 「https」が「http」より安全な理由として、大きく2点が挙げられます。 ・httpsでやりとりする相手は、信頼のおける第三者機関「認証局[*4]」 によって証明されている ・httpsでやりとりする通信は暗号化される [*4] 認証局の役割については、以下をご参照ください。 JPRS トピックス&コラム No.23 今改めて知っておきたい、サーバー証明書の基礎知識~サーバー証明書 の役割とその種類~ https://jprs.jp/related-info/guide/topics-column/no23.html これらの理由により、「https」の通信では以下のような事態を防ぐことがで きます。 ・通信相手が本物になりすました偽物だった ・通信内容を盗聴されてしまった ・通信内容を違う内容に改ざんされてしまった 具体例として、オンラインショッピングで個人情報を入力する際、第三者が通 信を傍受できたとしても、httpsから始まっているURLであれば(HTTPS化され ていれば)内容が暗号化されているため、盗聴を防ぐことができます。 また、偽サイトへの誘導やCookieの盗聴などを防ぐため、特定のページだけで なくWebサイト全体をHTTPS化する「常時SSL化[*5]」が進んでいます。主要な Webブラウザーでは、「http」のWebサイトを表示する際、アドレスバーに警告 が表示されることがあり、例えばGoogle Chrome 68以降では「保護されていな い通信」、Safari 12.1以降では「安全ではありません」と表示されます[*6]。 Webサイト訪問者に不安を与える警告を表示させないためにも、Webサイト全体 をHTTPS化する常時SSL化が重要です。 [*5] 詳細については以下をご参照ください。 常時SSL化について | JPRS https://jprs.jp/pubcert/about/aossl/ [*6] iPhone/iPad/Macで「安全ではありません」が表示される理由とその解決 方法 | JPRS https://jprs.jp/pubcert/about/guide/20190513-safari-warning.html HTTPS化に必要な「サーバー証明書」の設定には、以下の手順が必要です。 1. CSR(Certificate Signing Request)の作成[*7] 2. サーバー証明書の申し込み 3. 認証局による認証手続き[*8] 4. サーバー証明書のインストール[*7] [*7] JPRSサーバー証明書の場合については以下をご参照ください。 設定マニュアル | JPRS https://jprs.jp/pubcert/service/manual/ [*8] JPRSサーバー証明書の場合については以下をご参照ください。 認証方法について | JPRS https://jprs.jp/pubcert/service/authentication/ セミナーでは、一部の認証局の証明書が、認証局自身の不手際・不正行為に よって無効化された事例をご紹介し、信頼できる認証局のサーバー証明書を 選ぶことが大切であると説明しました。 JPRSもサーバー証明書を提供していますので、HTTPS化をお考えの際は、ぜひ ご検討ください。 https://jprsサーバー証明書.jp/ ■オリンピックイヤーを控えて、改めて考える DNSに対するDDoS攻撃とその対策 2012年のロンドン大会以降、オリンピックイヤーにおけるサイバー攻撃の増加 が報告されています。本セミナーでは来年に迫った東京大会を控え、DNSに対 するDDoS攻撃の影響とその対策、JPRSにおける取り組みについて紹介しました。 ▽DNSに対するDDoS攻撃とその影響 2016年の8月~9月に国内の複数のサイトにおいて、また、同年10月に北米地域 を中心とする複数のネットサービスにおいて発生した、大規模な障害事例を紹 介しました。これらはDDoS攻撃により権威DNSサーバーがサービス不能に陥っ たことで引き起こされたもので、権威DNSサーバーのサービスダウンが、さま ざまなネットサービスの提供・利用に、多大な影響を及ぼしました。 DNSには権威DNSサーバー、フルリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)、フォ ワーダー/スタブリゾルバーの三つの構成要素があります。それらのうち権威 DNSサーバーが狙われてサービスが提供できなくなると、そのサーバーが管理 するすべてのドメイン名に影響が及びます。 また、DNSを攻撃する目的にはDDoS攻撃のようにDNSを機能停止させてサービス を使えなくするもののほか、偽のDNSデータを使わせて偽サイトに誘導する、 攻撃の手段として踏み台にし、他者を攻撃する、データを不正入手してスキャ ンに利用するなど、さまざまなものがあります。 権威DNSサーバーに対するDDoS攻撃にフォーカスするとともに、攻撃対策を考 える場合、攻撃の対象と目的に応じた有効な対策を考え、実施する必要があり ます。 ▽DDoS攻撃に対する有効な対策 DDoS攻撃対策の基本的な考え方として「攻撃に耐える」と「攻撃をかわす」の 二つがあります。 「攻撃に耐える」は、処理能力やネットワーク帯域を強化したり新たな技術・ サービスを導入したりすることで、攻撃に対する耐久力を向上させるものです。 DNSにおける具体的な対策として、以下のものが挙げられます。 ・処理能力の強化 - 処理能力の高いサーバーの準備 - 負荷分散装置の導入 ・帯域の強化 - ネットワークの帯域の増強 - 複数のネットワーク回線の準備 ・技術・サービスの導入 - IP Anycast[*9]の導入 - 外部DNSサービスの利用 [*9] IP Anycastの詳細は、JPRS用語辞典をご参照ください。 https://jprs.jp/glossary/index.php?ID=0108 一方、「攻撃をかわす」は、攻撃を早期に検出したり攻撃トラフィックを制限・ 緩和したりすることで、攻撃そのものの影響を軽減するものです。DNSにおけ る具体的な対策として、以下のものが挙げられます。 ・攻撃検出機構の導入・運用 - 利用状況の監視 - 攻撃発生の速やかな検出 - 攻撃に対応可能な体制の確立 ・攻撃トラフィックの制限 - トラフィック制限の事前適用 ・攻撃トラフィックの緩和 - DDoS対策サービスの利用 ▽JPRSの取り組み JPRSでは登録システムとJP DNSサーバーに対し、DDoS攻撃対策を実施していま す。 「攻撃に耐える」対策として、サーバーの増強や負荷分散装置の導入による性 能強化やネットワーク帯域の増強を継続的に実施しています。また、JP DNSに おいて2004年からIP Anycastを運用しており、世界中の26拠点でサービスを提 供しています。 また「攻撃をかわす」対策として、早期攻撃検知機構を構築し、集中監視セン ターにおいて、24時間365日の有人監視を実施しており、攻撃トラフィックの 制限/緩和も適宜実施しています。 ■JPRSのWebサイトで公開中の情報提供資料 JPRSブースで配布した資料の一部は、JPRSのWebサイトでも公開しています。 以下のURIからぜひご覧ください。また、最新情報をソーシャルメディアの JPRS公式アカウントより随時配信しておりますので、こちらもご確認ください。 https://jprs.jp/sns.html ○JPRS DNS 関連技術情報 |https://jprs.jp/tech/ ○ドメイン名やDNSの解説コラム「JPRS トピックス&コラム」 |https://jprs.jp/related-info/guide/ ○JPドメイン名レジストリレポート |https://jprs.jp/about/report/ ○ドメイン名やDNSなどに関する用語辞典 |https://jprs.jp/glossary/ ○ポン太のネットの大冒険~楽しくわかるインターネットのしくみ~ |https://jprs.jp/related-info/study/ ○「co.jp」のドメイン名を会社のホームページ・メールアドレスに。 |https://nippon-kigyo.jp/ ○安心と信頼のJPRSサーバー証明書 |https://jprsサーバー証明書.jp/ ○サーバー証明書発行サービス |https://jprs.jp/pubcert/ ○ドメインまるわかり.jp |https://ドメインまるわかり.jp/ ◇ ◇ ◇ ◎関連URI - Interop Tokyo 2019 https://www.interop.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【FROM JPRS】━ ■会議報告:https://jprs.jp/related-info/event/ ■配信先メールアドレスなどの変更:https://jprs.jp/mail/henkou.html ■バックナンバー:https://jprs.jp/mail/backnumber/ ■ご意見・ご要望:from@jprs.jp 当メールマガジンは、Windowsをお使いの方はMSゴシック、macOSをお使いの方 はOsaka等幅などの「等幅フォント」で最適にご覧いただけます。 当メールマガジンの全文または一部の文章をWebサイト、メーリングリスト、 ニュースグループ、他のメディアなどへ許可なく転載することを禁止します。 また、当メールマガジンには第三者のサイトへのリンクが含まれていますが、 リンク先のサイトの内容などについては、JPRSの責任の範囲外であることに ご注意ください。 その他、ご利用に当たっての注意事項は読者登録規約にてご確認ください。 https://jprs.jp/mail/kiyaku.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) https://jprs.jp/ Copyright (C), 2019 Japan Registry Services Co., Ltd.