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ドメイン名関連会議報告

2006年

ICANNサンパウロ会合報告

2006/12/22

2006年12月2日から8日まで、ブラジルのサンパウロでICANN第27回会合が開催されました。ICANNの発表によれば、今回の会合には90ヶ国から720名以上が参加しました。今号では、サンパウロの全日程を通じ最も議論された話題としてIDNを、また、その他の注目を集めた動きとして、.asiaのレジストリ契約締結、.biz、.info、.orgのレジストリ契約更新承認を取り上げます。

会議の模様
会議の模様

1. IDNに関する検討状況


サンパウロ会合では、前回のマラケシュ会合同様、IDNが中心的な話題となりました。IDNに関するICANNなどでの検討状況は以下の通りです。

(1)ドメイン名レジストリ向けIDN実装ガイドラインの改訂作業

ICANNでは、ドメイン名のレジストリで構成するワーキンググループが、レジストリ向けのIDN実装ガイドラインを策定し、維持しています。最初にガイドラインが公開されたのは2003年6月ですが、その後版を重ね、現在は2006年2月に公開されたVersion 2.1が最新版となっています。現在、この実装ガイドラインをIETF(The Internet Engineering Task Force)のBCP(Best Current Practice:現在の最良の実践)とする方向で改訂作業が行われています。ガイドラインの主な内容は、以下の通りです。

  -  基本プロトコルはRFCに従うこと
  -  IDNで使える文字の集合を(列挙するなどにより)明確に規定すること
  -  各IDNを言語に結びつけること(複数の言語に属する文字を混在させないこと)
  -  必要に応じ、等価文字を定義すること

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(2)国際化TLDに関する検証と議論

ICANNでは、2006年中盤頃から技術とポリシーの両面で並行して国際化TLDの検討が行われています。

技術面では、ICANNの依頼を受けたスウェーデンのAutonomica社が、10月以来、既存のDNS実装がIDNをPunycode表現した形式の長いドメイン名のNSレコードに対して問題なく動くかどうかを検証しています。

ポリシー面でも検討が具体化してきています。サンパウロ会合中も、ccNSOGNSOGACそれぞれの会議でIDN TLDが取り上げられました。特にccNSO会議においては、以下の項目を含む課題リストが作成され、論点が明確になりつつあります。

  -  ccTLDのそもそもの定義をどうするか
  -  non-ASCIIのccTLD文字列をどう定義するか
  -  non-ASCIIのccTLD文字列を誰が定義するか
  -  誰がnon-ASCIIのccTLDのレジストリとなるかをどう決めるか

(*) ccNSO : Country Code Names Supporting Organization
  GNSO : Generic Names Supporting Organization
  GAC : Governmentary Advisory Committee

12月8日に開催されたICANN理事会でも、IDNの検討に関する進捗状況が報告されました。それに対して理事会からは、IDNのccTLDに関するイシューペーパーを作成するよう、ccNSOおよびGACに対して要請が出されました。

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2. .asiaのレジストリ契約締結


12月6日、サンパウロのICANN会議場にて、.asiaのレジストリであるDotAsia Organisation LimitedとICANNが.asiaレジストリ契約書に署名しました。.asiaはアジア太平洋地域の法人を対象としたTLDで、2003年12月にICANNが行なった公募に対して提案されていたものです。今回の契約締結により、DotAsia Organisationは、登録申請受付開始に向けた準備を本格化する予定です。なお、DotAsia Organisationによれば、.asiaドメイン名の登録申請受付は今後半年から9ヶ月の間に開始されます。

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3. .biz、.info、.orgのレジストリ契約更新の承認


現行の.bizのレジストリであるNeuLevelと.infoのレジストリであるAfiliasがICANNと締結しているレジストリ契約内容は、2001年5月に実施されました。また、.orgのレジストリであるPIR(the Public Interest Registry)のレジストリ契約内容は2003年1月に実施されたものです。.bizと.infoの契約期限は2006年に、.orgの契約期限は2008 年に設定されています。このため、.biz、.info、.orgの各レジストリは、2005年頃からそれぞれICANNとレジストリ契約の更新に向けて交渉と改訂案作成を重ねてきました。

2006年7月28日、ICANNはそれぞれの契約書案を公開し、パブリックコメントを募集しました。その後、寄せられたコメントを踏まえて検討した結果、10月24日に修正版の契約書案が公開され、12月8日にサンパウロで開催された理事会で承認されました。

今後は事務総長が中心となり契約書の締結に入ります。.bizおよび.infoの契約期限は2012年12月末、.orgの契約期限は2013年の6月末となります。なお、各契約は、レジストリによる重大かつ度重なる違反行為などがない限り更新されます。このいわゆるみなし更新条項は、2005年に交わされた.netのレジストリ契約書および2006年2月にICANN理事会で承認された.comのレジストリ契約書で初めて導入されたものです。今回承認された.biz、.info、.orgの契約でも、.netおよび.comの契約と条件を同等にするため導入されました。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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