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ドメイン名関連会議報告

2004年

ICANNローマ会合報告

2004/03/24
2004年3月1日から3月6日まで、イタリアのローマ郊外でICANNおよび関連組織の会議が開催されました。今回も様々な議題が議論されましたが、ここではICANN Presidentによる最近の活動の総括報告内容、ccNSOの動向、およびWSISワークショップの様子についてお伝えします。

ccNSO会合の様子 (Melia Roma Aurelia Antica Hotel,Rome)
ccNSO会合の様子 (Melia Roma Aurelia Antica Hotel,Rome)

ICANN Presidentによる活動総括

ICANN PresidentでCEOであるPaul Twomey氏は、3月4日に開催されたPublic Forumで、ここ1年間のICANNの成果として、主に次の事項をアピールしました。
ICANNの再組織化の効果は、新ICANNが実質的なポリシー策定にいたっていないため見えていませんが、今後、At Large、ccNSO、およびポリシー策定プロセスが実装されるに従い、多方面からの客観的評価が行われることになります。

  • 米国政府との覚書延長
  • ICANNの再組織化
  • At-Large、ccNSOの立ち上げ
  • IDNの実装
  • gTLDポリシー(WHOIS、ドメイン名移転、ドメイン名廃止関係)策定
  • レジストリサービスに関するポリシー策定プロセスの策定
  • ブリュッセルオフィスの設置
  • 新Sponsored TLDプロセスの策定
  • gTLDレジストラが合計191社に増加

さらに、今後の優先課題として、主に次の項目が挙げられています。最も優先度が高いのは、米国政府との覚書に関するプロセスの完遂です。米国商務省との覚書に基づき、ルートサーバの管理を始めとするインターネット資源調整責任を米国政府から民間組織ICANNに早急に移管し、インターネット資源管理の国際化、民営化を完遂したいという、Presidentの熱意が伝わってきました。

  1. 米国政府との覚書に関するプロセスの完遂
  2. ルートサーバシステムの安定性とセキュリティ確保
  3. IANAサービスの強化
  4. 新gTLD導入と競争促進
  5. 途上国、消費者への情報提供
  6. gTLDレジストリ、レジストラへのサービス強化

ccNSO設立

ICANNローマ会合期間中の3月1日をもって、ccNSO(Country Code Names Supporting Organization)が正式に設立されました。ccNSOは、GNSOASOと並ぶICANNの支持組織です。ccTLDレジストリで構成され、ccTLDに関してICANN理事会に勧告をする役割を持っています。

3月1日現在、39のccTLDレジストリがccNSOに参加しています。参加ccTLDの内訳は、アジア太平洋…8、ヨーロッパ…4、北米…4、アフリカ…11、ラテンアメリカ/カリブ…12です。

さらに、ccNSOの第1回会合が、3月3日に開催されました。会合では、ccTLDレジストリにおけるセキュリティ確保のために望ましい施策というテーマで、互いの経験を活かすため各レジストリがとっている施策を紹介し、技術情報を交換しました。

また、SSAC(Security and Stability Advisory Committee)から新TLD増設によるルートサーバへの影響や、DNSSECの動向といった現在の活動報告が行われ、会場からはIANAとの窓口における認証機構などの話題が上りました。

ccNSOにおいては、これからも関連組織を含めた技術、実務面での情報交換や経験の共有が活動の中心になっていくことが考えられます。今後は、7月に開催される予定のICANNクアラルンプール会合前に、ccNSO Council(評議会)メンバーの決定が行われ、組織として本格的に始動する予定です。

WSISワークショップ

3月4日には、WSISワークショップが開催されました。WSISワークショップは、ICANNのAt-Large Advisory Committee(ALAC)、GNSO Business ConstituencyおよびISP Constituencyが協同で開催した情報提供セッションです。昨年12月に開催されたWSIS第1回会合では、広範な情報社会の問題に加え、ICANNに大きく関連するインターネット資源管理責任、インターネットガバナンスについても議論が行われました。これを受けて、今回のWSISワークショップは、WSISの概要と動向情報を、レジストリ、レジストラ、ビジネス、一般ユーザなど、各方面からのICANN参加者に広く提供することを目的として開かれました。WSISに対する関心の高さから、300名以上の関係者がこのワークショップに出席しました。

ワークショップでは、Vint Cerf氏(ICANN Board Chairman)、Bill Manning氏(RSSAC)、Paul Kane氏(CENTR Chair)などのインターネット資源関連の専門家、ユーザ代表および政府高官など、総勢18名がパネリストとなり、WSISおよびインターネットガバナンスのありかたについて意見を述べました。

Vint Cerf氏ほか、複数のパネリストが、WSISが議論の対象としている情報社会はインターネットよりも広い範囲に及んでいること、ICANNがインターネット資源管理の技術的調整という限られた範囲によって活動しているにもかかわらず、WSISにおいてはICANNが情報社会全体のガバナンスを行っているかのような誤解を持たれる危険性があること、従って議論が拡散する可能性があることを指摘していました。

そして、パネリストのほぼ全員が、インターネット資源管理の調整は、ICANNを調整役とした民間主導のボトムアップという、現在の枠組みを維持して進めるべきとの意見でした。今後の活動としては、パネリスト以外の出席者を含む、インターネット資源管理に何らかの形で関わっている各位に対し、WSIS関連会合等でこの意見を表明していくこと、およびWSISの各国政府代表などの関係者と緊密な対話を続けていくことが要請されました。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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