ドメイン名関連会議報告
2006年
ICANNウェリントン会合報告
~ccTLD関連動向~
2006/04/06
2.ccNSO会合
ccNSO会合では、情報交換だけでなく、ccTLDレジストリがICANNと関わっていく上で重要となる案件に関し、意見交換、意思決定を行いました。この会合では、ccNSO会員に加え、非会員のccTLDレジストリ(ccNSOに未加入のccTLD)も参加して、約60のccTLDレジストリによる議論が行われました。ここでは、その中の主な話題であった、(a)ccTLDレジストリとICANNの間の契約に替わる新たな枠組みAccountability Frameworkの進め方、 (b)IANA(Internet Assigned Numbers Authority)業務に関する検討状況、(c)ICANN予算とccTLDの関わりに関する検討状況についてご報告します。なお、もう一つの時間を割いて議論した大きな話題としてIDNがありますが、これについては、関連話題だけを取り出して、別途報告することとします。
(a) Accountability Frameworkについて
ccNSO内の作業部会(チェア:JPRS 堀田博文)を中心にccTLDレジストリが議論し、検討を進めた結果として、Accountability Frameworkのガイドラインを2005年12月にICANNに提案しました。これに呼応して、2006年1月に、ドメイン名レジストリとICANNの間で従来使われてきた形態の契約に代わる次の2つの枠組みとそのための文書内容が、ICANNから提案されました。
・2者間契約(ただし、通常の契約とは異なり、たとえば2ページ程度の非常に軽装なもの)
・一方的な宣言文書のやりとり(自組織の役割の宣言文書を作成し、交換する)
今会合では、ICANN事務総長からその趣旨の説明と今後の進め方の提案がありました。ICANNは、必要に応じその文書内容の詳細は変更可能としており、今後、このいずれかの方法で各ccTLDと合意すべく話し合いを開始したいとしています。また、いくつかのccTLDレジストリとは、話し合いを始めているとの発言もありました。
(b) IANA業務に関する検討状況について
ccNSOでは、IANA作業部会を作り、IANA業務のあるべき姿と現状改善策、ccTLDとの関わりのあり方に関する検討を続けています。この検討には、IANAのメンバーも参加しています。特に、これまで、IANAへの情報変更申請後、その変更実施までに1週間以上も時間がかかっているという問題に関し、いくつかのccTLDから不満が出されていました。これについて、自動化できる業務部分を増やし、また申請者の認証を自動化するなどにより、処理の迅速化をサポートする仕組みがポーランドのccTLDレジストリなどにより開発され、IANAに提供されました。IANAは、この仕組みも使いつつ、さらに処理を迅速化し、レジストリの満足度を向上させる施策を打っていくとしています。
(c) ICANN予算とccTLDの関わりについて
ICANN総予算のうちどれくらいの割合をccTLDが負担すべきか、そしてその額をccTLDレジストリ間でどう分担すべきかという議論が継続しています。今回、この前者に関する議論が中心に行われました。予算に関する作業部会から、ccTLDがICANNから受けているサービスとそのサービスレベルを明確化し、それにかかるコストを積算するという具体的な検討状況の中間報告がなされ、その妥当性についてccTLDレジストリ間で議論しました。今後、そのサービス内容について、各ccTLDがサービスとしてICANNから享受すべきと考えているかどうかについての調査を実施し、検討を深めていくこととなりました。
関連URI
- ICANNホームページ
http://www.icann.org/ - ICANNウェリントン会合
http://www.icann.org/meetings/wellington/ - wwTLDホームページ
http://www.wwtld.org/ - wwTLDウェリントン会合資料
http://www.wwtld.org/meetings/cctld/20060326.Wellington-documents.html - ccNSOホームページ
http://ccnso.icann.org/ - ccNSOウェリントン会合アジェンダと会合資料
http://www.icann.org/meetings/wellington/ccnso-agenda.html - IANAホームページ
http://www.iana.org/ - 用語辞典(IANA)
http://jprs.jp/glossary/index.php?ID=0027
本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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