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ドメイン名関連会議報告

2023年

[第76回ICANN会合報告] TLDの次回募集に関する話題

本記事では、第76回ICANN会合における話題から「TLDの次回募集に関する話題」についてご紹介します。

TLD次回募集の実施方法に関する議論

TLDの次回募集に向けてICANN事務局にて進めていた、ODP(Operational Design Phase)と呼ばれる運用設計評価の検討結果が、前回ICANN75会合後の2022年12月、最終成果であるODA(Operational Design Assessment)としてICANN理事会に提出されました。

ODAでは、次回募集の実施方法として、以下のオプション1とオプション2が提示されました。

  • オプション1:One Big Round
    SubProポリシー勧告をすべて反映し、申請期間は1回のみ設ける。理事会が事務局に実装を指示してから申請受け付けを始めるまでに少なくとも5年掛かる(ポリシー実装に3年、ソフトウェア開発に3年で、可能な限り並行して行う)。申請料は283,000米ドル。
  • オプション2:Four Annual Cycles
    SubProポリシー勧告の一部の実装を省く、または遅らせる。1年に1回申請受付期間を設け、そのサイクルを4回行う。1回のサイクルで処理できる申請数を450件に制限する。理事会が実装を指示してから1サイクル目の申請受付を開始できるようになるまでに約18カ月かかる(ポリシー実装に11カ月、ソフトウェア開発に18カ月で、可能な限り並行して行う)。申請料は240,600米ドル。

ODAに対しては、コミュニティ内では、申請料が高額となっている点に懸念が示されました。また、オプション1を支持する意見はほとんどなく、オプション2をベースに、期間短縮、費用低減の方策を有志が検討する状況となっています。

その動きの一つとしてICANN76では、Brand Registry Group(BRG)が次期募集をできるだけ早期に実現するための具体的な提案を発表するセッションが開催されました。

ICANN理事会による次回募集に関するポリシー勧告の採択

ICANN76の会期中に開催されたICANN理事会で、2021年1月にGNSOがICANN理事会に対して行った、新gTLDの次回ラウンドに関するポリシー勧告のうち98件を採択し、38件については保留とすることが決議されました。

ICANN理事会による決議内容には、

  • 「保留」とした38の勧告については、課題解決に向けたスケジュールをGNSO評議委員会とICANN理事会の間で2023年6月15日までに合意する
  • 2023年8月1日までに次回ラウンドの包括的な実装計画を提出するようICANN事務局に求める

といった内容が含まれており、期限を切って次回募集に向けた検討を加速化させる強い意志を示した形となりました。

これにより、新gTLDの募集に向けた実装プロセスが開始されることとなり、ICANNとして次回募集を実施することが事実上決定したことになります。