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ドメイン名関連会議報告

2026年

[第125回IETF Meeting] DNS関連RFCの発行状況

本記事では、前回の第124回IETF Meetingから今回の第125回IETF Meetingまでに発行された、DNS関連のRFCの内容をご紹介します。

HTTPS/SVCBリソースレコードによるTLS Encrypted ClientHello(ECH)設定情報の伝達

RFC 9848: Bootstrapping TLS Encrypted ClientHello with DNS Service Bindings
(Standards Track: draft-ietf-tls-svcb-ech)

RFC 9848は、TLSのEncrypted ClientHello [1]の設定情報を、HTTPS/SVCBリソースレコード(RR)に記述するための仕様を定義します。本RFCは標準化過程(Standards Track)として発行されます。

本RFCは、HTTPS/SVCB RRのサービスパラメーターのkeyに「ech」を追加します。echにはRFC 4648で定義されるECHConfigListの値を、Base64エンコーディングして記述します。

当初、本RFCはHTTPS/SVCB RRの基本仕様(RFC 9460)の一部として標準化作業が進められました。しかし、tls WGでの作業が遅れたことで基本仕様から分離され、サービスパラメーターを追加する形で標準化作業が進められることとなりました。その経緯については、過去のドメイン名関連会議報告「第116回IETF Meeting報告 DNS関連RFCの発行状況」をご参照ください。

無人航空機(ドローン)の識別情報をDNSで取り扱うための仕様

RFC 9886: DRIP Entity Tags (DETs) in the Domain Name System
(Standards Track: draft-ietf-drip-registries)

RFC 9886は、ドローンをネットワーク経由で識別するプロトコルDRIP [2]の識別子であるDRIPエンティティータグ(DRIP Entity Tags)を、DNSで取り扱うための仕様を定義します。本RFCは標準化過程(Standards Track)として発行され、HHIT RRとBRID RRという、2種類のRRを定義します。

DNSSECのアルゴリズム実装要件と使用のガイドライン

RFC 9904: DNSSEC Cryptographic Algorithm Recommendation Update Process
(Standards Track: draft-ietf-dnsop-rfc8624-bis)

RFC 9904は、DNSSECのアルゴリズムの管理をIETFからIANAに移行し、使用・実装の要件の更新・参照を容易にするための仕様を定義します。本RFCは標準化過程(Standards Track)として発行され、RFC 8624を置き換え、RFC 9157を更新します。

IANAは、登録されたアルゴリズムの使用と実装の推奨値を「MUST(必須)」「RECOMMENDED(推奨)」「NOT RECOMMENDED(非推奨)」「MUST NOT(禁止)」の4種類に分類し、その情報をDNSSECアルゴリズムレジストリで公開します。

DNSSEC署名アルゴリズムにおけるSHA-1の使用の非推奨化

RFC 9905: Deprecating the Use of SHA-1 in DNSSEC Signature Algorithms
(Standards Track: draft-ietf-dnsop-must-not-sha1)

RFC 9905は、DNSSECの公開鍵(DNSKEY RR、DS RR)と署名(RRSIG RR)における、RSASHA1とRSASHA1-NSEC3-SHA1アルゴリズムの使用を非推奨とするための仕様を定義します。本RFCは標準化過程(Standards Track)として発行され、RFC 4034とRFC 5155を更新します。

SHA-1(Secure Hash Algorithm 1)は、米国NSAが開発したハッシュ関数で、1995年に標準化され、さまざまなプロトコルやアプリケーションで広く使われてきました。しかし、2005年に有効な攻撃方法が発見され、2017年に具体的な攻撃の成功例が報告されるなど、安全性が脅かされており、現在は非推奨となっています。

本RFCは、DNSSECにおけるSHA-1の使用を非推奨とし、他のアルゴリズムが有効でない場合、応答を安全ではない(insecure)と扱わなければならないと定めています。

DNSSECにおけるECC-GOSTの使用の廃止

RFC 9906: Deprecate Usage of ECC-GOST within DNSSEC
(Standards Track: draft-ietf-dnsop-must-not-ecc-gost)

RFC 9906は、DNSSECにおけるECC-GOSTの使用を廃止するための仕様を定義します。本RFCは標準化過程(Standards Track)として発行されます。

ECC-GOST(GOST R 34.10-2001)は、ロシア政府標準委員会が開発した暗号アルゴリズムです。ハッシュアルゴリズムであるGOST R 34.11-94と共に、2012年にロシア連邦技術規制・計量庁の命令で廃止され、新しいアルゴリズムであるGOST 34.10-2012とGOST 34.11-2012に置き換えられています。

本RFCは、DNSSECにおけるECC-GOSTの使用を廃止し、他のアルゴリズムが有効でない場合、応答を安全ではない(insecure)と扱わなければならないと定めています。