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JPRSの用語辞典では、ドメイン名やDNS、サーバー証明書に関する用語を紹介、解説しています。
2024年2月にドイツ国立応用サイバーセキュリティ研究センターATHENEの研究者チームが発表した、DNSSEC検証を行うリゾルバーをDoS攻撃可能な脆弱性です。本脆弱性にはCVE IDとして、CVE-2023-50387が割り当てられています。
DNSSECでは一つのゾーンに複数の鍵(DNSKEYリソースレコード)を設定でき、かつ一つのリソースレコードセット(RRset)に複数の署名(RRSIGリソースレコード)を追加できるように設計されています。これを利用することで、DNSSECによる保護を維持した鍵の更新(キーロールオーバー)や使用するアルゴリズムの変更(アルゴリズムロールオーバー)などの機能が実現されています。
KeyTrapではこの仕組みを利用し、鍵の識別に使われるKey Tag(鍵タグ:DNSKEYリソースレコードから計算される16ビットの数値)を意図的に衝突させた多数の鍵と、その鍵タグを参照する多数の署名を持つゾーンデータを名前解決させ、DNSSEC検証に多大な作業量を強いるように仕向けることで、リゾルバーのDNSサービスの妨害を図ります。
本脆弱性の緩和策として、DNSSEC検証において実装する作業量の総量制限が、リゾルバーの開発者やパブリックDNSサービスの運用者などにおいて実装・実施されています。
* DNSSEC(JPRS)
* DoS攻撃(DDoS攻撃)(JPRS)
* キーロールオーバー(JPRS)
* RRset(リソースレコードセット)(JPRS)
* DNSKEYリソースレコード(JPRS)
* RRSIGリソースレコード(JPRS)
* Key Tag(鍵タグ)(JPRS)
* KeyTrap – ATHENE(KeyTrap公式サイト)
* CVE Record | CVE(本脆弱性のCVE ID(CVE-2023-50387))
* BIND 9 Security Release and Multi-Vendor Vulnerability Handling, CVE-2023-50387 and CVE-2023-50868 – ISC(ISCによる解説)
* Remediating new DNSSEC resource exhaustion vulnerabilities(Cloudflareによる解説)